「殺すぞ」と言う言葉に愛を感じるなんて…。映画「殺さない彼と死なない彼女」
早いもので私の息子もこの4月で高校3年生になりました。
昨年は新型コロナウィルスの影響で緊急事態宣言が出され、学校に行けるようになったのは5月の終わりくらいでした。
いつの間にか3年生はいなくなり、代わりに新入生がいて、終わりと始まりがはっきりしない、ぼんやりとした昨年。
楽しみにしていた学園祭も修学旅行も中止になり、息子いわく、「不完全燃焼」とのこと。
高校生活は小学校、中学校の時とは比べ物にならないくらい楽しいようです。
卒業することを考えるといまから泣けてくるみたい。
私は割とあっさり高校生活を終えたので羨ましい限り。
新型コロナも一向に終息せず、不安なまま迎えた新学期ですが、残りの日々、悔いのないように過ごしてもらいたいな。
さて、今回ご紹介する映画は「殺さない彼と死なない彼女」です。
では、あらすじを簡単に
サッカーに情熱を捧げていた高校生小坂は、怪我のためにサッカーを続けられなくなり、挙句、留年してしまいます。
運命に見放され、絶望し、何事にも興味を持てなくなってしまった彼は、いつの間にか「殺すぞ」が口癖になっています。
そんなある日、ゴミ箱に捨てられた蜂の死骸を取り出して土に埋めようとしている少女、鹿野に出会います。
鹿野はリストカット常習者として校内では有名な人物。
鹿野は、この蜂は自分だと言うと、泣き出してしまいます。
小坂が食べ終えたアイスクリームの棒に“ハッチ”と書き、蜂のお墓に突き刺すと、その時初めて鹿野は笑顔を見せました。
「何笑ってんだ。殺すぞ」と言う小坂。退屈しきっていた小坂に”興味“が生まれ、その日から2人一緒に過ごす時間が多くなりました。
作品情報
監督は小林啓一さんです。1972年生まれ、千葉県出身です。
テレビ東京『ASAYAN』などのディレクターを経て、MV、CM、ビデオドラマ、ウェブドラマ等の作品を多数演出しています。
長編映画デビューは「ももいろそらを」(2012年)です。この作品は、第24回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門で最優秀作品賞を受賞しました。
高校生たちの日常生活をみずみずしく写し取る青春映画の新鋭として注目されています。
主演を務めたのは間宮祥太朗さんです。1993年生まれ、神奈川県出身です。
中学時代に雑誌の読者モデルとして活躍。俳優デビュー作は2008年 日本テレビのドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生』です。
私の中では映画「帝一の國」で演じた氷室ローランド役が強烈に印象に残っています。
ヒロインを演じたのは桜井日奈子さんです。1997年生まれ、岡山県出身です。
2014年「岡山美少女・美人コンテスト」で「美少女グランプリ」に選出され芸能界入りを果たします。
2016年「それいゆ」で俳優デビュー。同年日本テレビ『そして、誰もいなくなった』でドラマデビューしました。
大人気少女漫画の実写ヒロインを演じるなど幅広く活躍されています。
黒髪が映える透明感のある美少女という印象が強いです。
とにかく観て!
本作はSNS漫画家・世紀末さんによるTwitter発の人気コミックの実写化です。メインとなる小坂と鹿野のストーリーと、地味子ときゃぴ子、撫子と八千代と言う2組が織りなすストーリーが同時に展開していきます。
本作は、あまり多くを語り過ぎると観た時の感覚が鈍くなってしまうかもしれないので、とにかく、観て!としか言えません。
登場人物たちは時折、「未来の話をしよう」と言います。
生き辛さ、乾き、絶望を感じていても、そうだ、私たちが向かっている先は未来なんだとこの作品は教えてくれました。
自然光を取り入れたという優しい光に満ちた映像は、懐かしさも感じます。
学校の廊下、教室に差し込む日差しや屋上の景色は、儚く過ぎていく青春が照らし出され切なさが溢れてしまいます。
直接3組が関わる描写はなく、けれど、終盤のあるシーンで伏線が一気に回収されるという、見事な構成に驚かされました。
【殺さない彼と死なない彼女】
監督:小林啓一
脚本:小林啓一
原作:世紀末
「殺さない彼と死なない彼女」
出演者:間宮祥太朗
桜井日奈子
恒松祐里
堀田真由
箭内夢菜
ゆうたろう
製作年:2019年
製作国:日本
※画像はAmazonより引用させていただきました