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笑いすぎて疲れたので謝罪して貰いたくなる映画「謝罪の王様」水田伸生監督 宮藤官九郎脚本 阿部サダヲ主演

私が今より少し若かった頃、勤務していた会社にその人はいました。
「絶対に謝らない女 亜紀」
本名ではありません。
歌手の八代亜紀さんに似ていたのです。

彼女はミスを指摘されたり、明らかに仕事の進行を妨げるような失敗をしでかしても、絶対に謝ることはしません。
「私がすべて悪いというのですか?○○さんだってこの間…」と、まず人のせいにします。
お客様からのクレームにも喧嘩腰です。
「こちらにも非はあるのかもしれませんが、お取引の時、私、○○ですよって言いましたよね?」
そんな時は上司が平謝りで後日お詫びに向かうという始末。
私たちは段々と彼女から距離を取るようになり、ある日、彼女は重大なミスを犯したことで、あまり人と接することがない他部署に移動させられることになりました。
そして、少し経った頃、退職してしまいました。
会社を去る日、廊下で遭った私に「色々とやっちゃった。アナタにも迷惑かけたね。ごめんなさい。」と、涙を浮かべて彼女は言いました。
なんだ、謝れるじゃん。
負けず嫌いだったのかな?
それともプライドの問題なのでしょうか?
いずれにせよ、大きな代償を払った彼女はそれで何かを学ぶことが出来たのかな?
私たちが彼女に対して苦手意識を持たずにもっと話を聞いてあげていたらと、今でもたまに思うことがあります。

さて、今回ご紹介する映画は阿部サダヲさん主演の「謝罪の王様」です。
流れるように美しい究極の土下座は必見です。

では、あらすじを簡単に。

~司法書士を目指す帰国子女の倉持典子(井上真央)はヤクザの車と接触事故を起こし、相手側から多額の賠償金を請求されてしまいます。「謝る=全面降伏」と教えられ育った典子は困り果て、依頼者の代わりに謝罪することで人の抱えるあらゆるトラブルを収束させるという、東京謝罪センターの所長であり「謝罪師」を名乗る黒島譲(阿部サダヲ)という男を訪ねます。典子は、謝るだけでは物事が解決するわけがないと最初は怪しみます。しかし、徹底した黒田の謝りぶりに、相手側のヤクザがだんだんと態度を軟化させていくのを見て、典子は黒田の才覚に驚きます。結果、賠償金は当初の額より大幅に減額されて解決します。典子は残りの賠償金を支払うために黒田の元でアシスタントとして働きだします。

監督の水田伸生さんは日本テレビのテレビドラマ演出家で映画監督としても活躍されている方です。
芦田愛菜さんが子役として鮮烈な印象を残し彼女の出世作にもなった「Mother」(2010年)の演出も手掛けられています。
脚本の宮藤官九郎さんと主演の阿部サダヲさんとは「舞妓Haaaan!!!」(2007年)、「なくもんか」(2009年)でもタッグを組んでいます。
どちらもかなり面白い作品です。

『謝罪の王様』は、ショートストーリー形式で、ケース1~ケース6までの「6つのケース」に分けられています。
一つ一つのストーリーには何らかのつながりがあり、まったく別のストーリーが進行していくという不自然さはないのでスムーズに入り込むことが出来ます。
この一連の流れの構成が実に素晴らしいものだと気付くのは映画を観終わってからです。
オムニバスのように見えて実は…。

少しずつ散りばめられた伏線が回収される流れはテンポがよく心地いい!
そして、主演の阿部サダヲさんはいつも通りの安定感。
中学生時代まで演じているのに違和感がないのが笑えます。
各ストーリーにはこれまた豪華な俳優陣が揃っており、見ごたえのある演技の応酬になっています。
そして、短いシーンにも有名な俳優さんが出演されていますよ。
なんとも贅沢!
終盤にしつこいくらいに繰り返される意味もないセリフが数日間頭の中を占拠することでしょう。
難しいことを考えず、笑いに身を委ねてみてはいかがですか?

※画像はAmazonより引用させていただきました

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