オンラインで観るルーブル美術館

皆さん、こんにちは。
皆さんは「名画」と聞いて、どんな作品が思い浮かびますか?

ピカソの「ゲルニカ」、ゴッホの「ひまわり」、ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」など、世界には数多くの作品が存在しますよね。

しかし「なぜこれが名画なのか?」と素朴な疑問を抱いている方も実は多いのではないでしょうか。

芸術鑑賞は、その時代背景や作者の意図などを頭に入れておくことでより深く楽しめます。
あくまで個人的な意見ですが、私は「なぜだか分からないけど、どうしても心に残ってしまう」のが名画だと思っています。

大のアート好きな私は、2018年に渡仏して真っ先にルーブル美術館の年間パスポートを購入しました。

以来、数え切れないほどルーブル美術館に足を運びました。
小さな美術館も素敵ですが、圧倒的な名画のラインナップはやはり規模の大きな美術館の強みです。

現在(2021年4月)フランスでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため3度目のロックダウンが行われていて、残念ながら皆さんにリアルタイムな画像をお届けすることができないのですが、今回はオンラインでも鑑賞できるルーブル美術館のコレクションを4つご紹介していきたいと思います。

「なぜだか分からないけど、どうしても心に残ってしまった」作品について、お話していきますね。



幽玄、貫禄、圧巻のルーブル美術館

まず、ルーブル美術館は佇まいが圧倒的に美しいです。
言わずと知れたピラミッド型のエントランスなんですけれども、この近代建築と歴史的建造物のコントラストがとても素敵です。

私は今まで何回もルーブル美術館を訪れていますが、実は夜の光景が一番綺麗なんですよ。

満月が良く似合いますよね。
夜のルーブルは何度見ても惚れ惚れしてしまいます。幽玄で貫禄があり、もうこの風景が名画になりそうです。

因みに1989年のピラミッド完成当初は、フランス国民からブーイングの嵐だったそうですよ。何でも中世の歴史的建造物と近代的なガラスのデザインがマッチしないとかで、「ここはダラスか?」と酷評されたそうです。(新しいものを受け入れないフランス人らしい皮肉。。!)

ですが、本来このピラミッドの部分はエントランスの役割を果たしています。
混雑解消のために広いエントランスを増設したこと、そして自然光を地下のロビーまで採り入れることを目的としているんです。

今となっては世界有数の観光地となりましたし、映画「ダヴィンチ・コード」の舞台にもなりました。

やはりインパクトのある佇まいは心に残りますし、これほどシンボルマークの主張が激しい美術館も他にないのではないでしょうか。

話題性も含めて、ルーブル美術館がいかにたくさんの人に愛されているのかが分かります。

それでは中に入ってみましょう。

サモトラケのニケ

紀元前190年頃に制作され、1863年にギリシャのサモトラケ島で発掘されました。
モナリザ、ミロのヴィーナスと並びルーブル美術館の三大傑作の一つと呼ばれています。

実物は想像をはるかに超える大きさで(約5,5m)、繊細な布の感じや、翼の躍動感など、今にも動き出しそうな素晴らしい彫刻。これがルーブル美術館の序盤、導入部分にあるんです!

でもなぜ、サモトラケのニケにここまで惹かれてしまうのでしょうか?

私は失われた頭部と腕にあると思っています。

もちろん圧倒的な彫刻の表現力もあると思うのですが、頭部と腕が欠けていることでサモトラケのニケはどこかミステリアスに感じます。

https://collections.louvre.fr/ark:/53355/cl010252531
出典:ルーブル美術館オフィシャルサイト

頭部と腕がなくても今にも動き出しそうな力強さがありますし、それらがないことで、サモトラケのニケの美しい翼がより目立つようになっている気がします。

シンメトリー的な美より、アシンメトリーな美にどうしても惹かれてしまう、心に残ってしまう、という不可抗力的な魅力を持っているんですね。

洗礼者ヨハネ

ルーブル美術館はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品が数多く貯蔵されていることでも有名です。

私がダヴィンチの作品の中で一番見入ってしまったのがこちらの「洗礼者ヨハネ」。
贅沢なことですが、この作品だけを観にルーブル美術館へ通っていた時期もありました。

洗礼者ヨハネは、キリスト教絵画で最も頻繁に描写される人物のひとりです。
作者ダヴィンチは、「モナ・リザ」と共にこの「洗礼者ヨハネ」の絵を最後まで手放さなかったそうですね。

私が思う、「洗礼者ヨハネ」の名画ポイントは以下の二つです。

①天を指すこのポーズの意味
②ダークな背景と微笑みのコントラストが妖しい

まず、①は救世主が世の中を救いにくることを示しているということでしょうか。
この絵が描かれたのは1513年~1516年とのことですので、当時の西ヨーロッパは戦にまみれていた時代でした。

「もうすぐ平和な世界がやってくるよ」という暗示を意味しているのか分かりませんが、後世の私たちに謎解きをさせているようで何だかワクワクしませんか。

ずば抜けた天才だったというダヴィンチですから、「洗礼者ヨハネ」に隠れたメッセージ性持たせていたのは間違いありません。

何世紀も後になっても、未だ本当のことは誰も分かっていない。
なんてロマンのある話なんでしょう。

https://collections.louvre.fr/ark:/53355/cl010062374
出典:ルーブル美術館オフィシャルサイト

また②の、ダークな背景+穏やかな陰影で描かれた肌の質感が素晴らしく妖艶です。
私が絵画で色気を感じたのは「洗礼者ヨハネ」が初めてです。

普通に美男子ですし、微笑みとも挑発とも取れる表情。荒々しい背景と繊細な色合いの人物像のコントラストが、両性具有的な印象も与えます。

ダヴィンチ最晩年の作品だという「洗礼者ヨハネ」。
鑑賞する者に「満足」ではなく「不可解さ」や「不気味さ」を植え付けてしまう、何とも心に残る名画です。

これは彼の天才ゆえの生きづらさ、不条理から生じたものなのでしょうか。
しかし絶妙なタッチの陰影が、暗い背景から光に照らされて浮かび上がるヨハネ像に「希望」を吹き込んでいるようにも見えます。

若き殉教者

ロマン主義を代表する画家の一人、ポール・ドラローシュ。
19世紀のフランスで活躍し、当時は同世代のドラクロワよりも国際的な評価を得ていたと言われています。

ドラローシュの最晩年の作品もまた素晴らしいです。
「若き殉職者」と名付けられたこの絵画は、偶像崇拝を拒否した少女を、川に突き落とし溺死させた光景を描いたもの。

名作「オフィーリア」の影響を強く感じさせる描写ですね。
実際にドラローシュは「オフィーリア」を観て感銘を受け、同じような作品をテーマを変えて表したのだとか。

https://collections.louvre.fr/ark:/53355/cl010066492
出典:ルーブル美術館オフィシャルサイト

しかしなぜ男性は不幸な美少女を描きたがるのでしょうか。
美少女と水って、なんだか似合います。

さて「若き殉職者」は空想の絵とはいえ悲しいテーマなのですが、この少女は崇高で、神秘的で、詩的で、本当に美しいです。死んでいるというより眠っているような感じです。

先の「洗礼者ヨハネ」の技法と似ていて、背景の影がより少女を輝かせています。

私は、他の宗教画が“イベント”(受胎告知など)をにぎやかに描いているのに対して、この「若き殉職者」が単に“無垢性”を表していることに純粋に惹かれました。

グランドオダリスク

https://collections.louvre.fr/ark:/53355/cl010065566
出典:ルーブル美術館オフィシャルサイト

1814年に制作された「グランドオダリスク」。

ハーレムの高級娼婦を意味するオダリスク。その美しいプロポーション、リュクスな調度品の描写、寒色系の色彩など、非の打ち所のない絵画です。

まず、肌の表現力が素晴らしいですよね。きめ細かくてなめらかで透明感のある肌。
まるで絵画から香りが漂ってくるようです。

見ての通りだいぶ背中が歪んでいるのですが、その歪んだ空間表現がなんとも魅力的で、人物がきちんと整列した絵画より魅了されてしまいます。

美しい人を描いた名画はたくさんありますが、私はこの「グランドオダリスク」の女性が一番美人だと思っています。

裸なのにいやらしくないですし、健康的で品のある美しさがあります。
女性も男性も好ましいと思える女性の身体なのではないでしょうか。

匂い立つような絵画の「グランドオダリスク」、実は香水にもなっています。

フランスの化粧品ブランド「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」が、ルーブル美術館とのコラボで作りあげた「グランドオダリスク」という作品です。

私はこちらのブランドが好きでよく香りを試すのですが、「グランドオダリスク」はブランド一セクシーな香りです。

お香とスパイスの香りがオリエンタルさを、ムスクが人肌を演出しています。この匂いを嗅いでいると、本当に「グランドオダリスク」の女性が隣にいるようです。

名画を香水にするなんて、さすがフランス。。といったところでしょうか。
香りがあると、その絵画を頭より感性で理解することができるような気がします。

名画をより楽しむためにも、このように香水化する企画がもっと広まれば良いなと思っています。

無料で鑑賞可能!

感じ方や好みは人それぞれなので、もしかしたら「私は違うぞ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回私なりの考え方をまとめてみました!

因みにルーブル美術館のオフィシャルサイトでは、コロナ禍で美術鑑賞ができなくなってしまった方たちのために、ルーブル美術館の全作品がオンラインで無料で観ることができるようになっています。

この機会に、ご自宅でルーヴルの名作に触れてみてくださいね。

参考:ルーブル美術館オフィシャルサイト
https://collections.louvre.fr/

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