英国王のスピーチ

世界一弱虫で世界一可愛い王様の映画「英国王のスピーチ」

話し方の癖

20代の頃、友人とマナー講習を受けた時のお話。

話し方講座で講師を務めたのは、東京でアナウンサーをしていた方でした。
局アナをお辞めになった後はフリーとしてご活躍されていて、当時はテレビショッピングなどでよくお見掛けする50代半ばの上品な女性でした。
座学だけではなく発声練習や朗読、自己PR などを取り入れた本格的で中身の濃い面白い講座。

1日6時間3日間の講座の初日と最終日には、1分間の自己紹介を録画して、全員で観ながらアドバイスをしあうという授業がありました。
最終日には初日に行った自己紹介と比較することも行い、その変化に驚いたことを覚えています。

何しろ初日が酷い。
身体は左右に揺れる、視線を聞いている人に向けない、無駄に手を動かす、髪をいじる…。
挙句の果てにペロペロと何度も唇を舐めるんですよ。
蛇のようでした。

先生には
「とにかくあなたは落ち着きがない。こちらまでソワソワしてしまう」
と言われたっけ。
自分を客観視することが出来た貴重な体験でした。

「とにかく舌は出さない」
今でも人前で話すときは気を付けています。

さて、今回ご紹介する映画は「英国王のスピーチ」です。

では、あらすじを簡単に

英国王ジョージ5世の次男アルバート王子は、幼いころから吃音症に悩む内向的な性格です。
そんな夫を心配した妻はオーストラリア出身の言語聴覚士ライオネルを頼ります。
王子はフランクな物言いをするライオネルのもと、次々と奇妙な治療法を実践することに。
そんな中、ジョージ5世が崩御し、長男であるデイヴィッド王子が「エドワード8世」として国王に即位します。
ところが、新王が結婚を望んでいる女性、ウォリス・シンプソンはアメリカ人で、離婚歴があり、2番目の夫といまだ婚姻関係にあります。
王室に大きな問題が起こるのは明白です。
しかしエドワード8世はウォリスとの結婚を諦めきれず、案の定、即位して1年も満たぬうちに退位します。
そしてアルバート王子が『ジョージ6世』として即位する事態に。
ですが、吃音症は依然として深刻なまま。
そしてジョージ6世夫妻は再びライオネルを訪ね、治療を再開することになり…。

作品情報

監督はトム・フーパーです。
イギリス出身の映画監督でテレビドラマの演出家としても活躍されています。
『英国王のスピーチ』はアカデミー作品賞をはじめとする様々な賞を受賞し、自身もアカデミー監督賞を受賞しました。
2012年には『レ・ミゼラブル』を監督。
アカデミー賞では3部門を受賞しています。
しかし『キャッツ Cats』(2019)では第40回ゴールデンラズベリー賞(その年の最低な作品に送られる賞)で最低作品賞をはじめ、最多6部門で受賞を果たしているようです。
あらまあ。
逆に観たい。

主演を務めるのはコリン・ファースです。
映画『アナザー・カントリー』(1984年)でデビュー。
1995年にBBCで放映された『高慢と偏見』のダーシー役でスターの座を確立しました。
『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)シリーズのマーク・ダーシー役も世界中から愛されていますね。

ライオネルを演じるのはジェフリー・ラッシュ。
オーストラリア出身の俳優です。
『シャイン』(1996年)でアカデミー主演男優賞を受賞しています。
近年では『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのヘクター・バルボッサ役で有名ですね。

守ってあげたい

さて、この作品はイギリスの現在の女王エリザベス2世のお父様であるジョージ6世の史実を基に描いた作品です。
王室の華やかさを描くだけの作品ではなく、一人の人間が直面する大きな試練に悩み苦しみながら立ち向かっていくという物語です。

国王という重責に幼いころからの吃音症というハンデを抱えるアルバートを、コリン・ファースが見事に演じています。
緊張感が伝わってくる演出に、胸が苦しくなります。
そして可愛い。
母性本能が刺激されます。
ジェフリー・ラッシュ演じるライオネスの人物像も人間味が溢れ、寄り添ってくれる様はとても頼もしい。

吃音を克服する訓練は、まるでスポーツのよう。

自分の弱さを受け入れ向き合うことで困難を乗り越えることが出来る、と勇気を貰える作品です。

【英国王のスピーチ】
監督:トム・フーパー
出演者:星野源
コリン・ファース
ヘレナ・ボナム=カーター
ジェフリー・ラッシュ
ガイ・ピアース
ティモシー・スポール
イヴ・ベスト
製作年:2010年
製作国:イギリス・オーストラリア・アメリカ

※画像はAmazonより引用させていただきました

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