全米史に残る奇跡の裁判！映画「ビリーブ未来への大逆転」

あっという間に3月になりました。
先日、以前勤めていた職業訓練校の元訓練生の女性からメールが来ました。
訓練修了後に就職した会社で今も働いているということ、今年、付き合っていた人と入籍するという内容でした。

そして、メールの最後には、
「…朝の3分間スピーチで取り上げた3月8日の国際女性デーが印象的で、毎年3月になると先生を思い出します。いまだに祝日にはなりませんね（笑）」
とありました。
はて、何のことやら…。
でも、国際女性デーを題材にしたスピーチのこと、その後のディスカッションがとても白熱していたことはうっすらと覚えているような…。
「国際ってあるんだから休みになればいいのに…」
とか、多分言ったのでしょう。いや、絶対言っている…。
とはいえ、印象に残っているというのは嬉しいことです。

さて、アメリカでは国際女性デーを含む3月を女性史月間としています。
今回ご紹介する映画は性差別と闘い、未来への礎を築き上げた実在したアメリカの女性のお話「ビリーブ　未来への大逆転」です。

1950年代アメリカ。ルースは弁護士を目指してハーバード大学のロースクールに入学します。500人の新入生のうち女性はたったの9人。
学内には女性用のトイレもありませんでした。
そう、学内には性差別が数多く存在していたのです。
同じくハーバード大学で法律を学ぶ夫、マーティンとの間にまだ乳幼児の娘を持つルースの生活はとても忙しい毎日でしたが、マーティンはとても優しく協力的です。そして、彼女の一番の理解者でもありました。
しかし、ある日、マーティンのガンが発覚します。
生存率5％と宣告されるのですが、彼女は諦めず彼を励まします。
そして、治療に専念する夫の代わりに大学の授業に出席しノートを取ります。
彼女の熱意が通じたのか、マーティンの病状は改善します。
大学も無事に卒業したマーティンは、NYの法律事務所への就職することに。
ルースはコロンビア大学に移籍することになります。
やがて、コロンビア大を首席で卒業した彼女でしたが、女性だという理由でどの法律事務所でも採用を断られ、ラトガース大学で大学の教授として教鞭をとることを選びます。

監督はミミ・レダーです。映画監督、映画プロデューサーとして活動しています。
スティーブン・スピルバーグから声がかかり、映画会社ドリームワークスの第1作となる1997年、『ピースメーカー』で長編映画監督デビューしました。
1998年の監督作『ディープ・インパクト』は3億5000万ドルの興行収入を記録し大ヒットしました。
他作品に『ペイ・フォワード 可能の王国』（2000年）
『ザ・エッグ 〜ロマノフの秘宝を狙え〜』（2009年）があります。

主演はフェリシティ・ジョーンズです。イギリス出身です。
『今日、キミに会えたら』（2011年）での演技が評価され、サンダンス映画祭でドラマ部門特別審査員賞を受賞しました。
2014年の『博士と彼女のセオリー』ではアカデミー主演女優賞にノミネートされました。
本作もですが、知的で芯の通った女性の役が似合う印象です。

本作は2020年9月18日に死去したアメリカの連邦最高裁判事であったルース・ベイダー・ギンズバーグの若き日を描いた実話です。
彼女は27年間という長い間、リベラル派判事の代表的存在としてアメリカでは大きな影響力を持っていました。男女平等や女性の権利について長年闘ってきたいわば、#MeToo運動の先駆者ともいえる存在でした。

さて、本作は1970年代、女性は家にいるものという考えが当たり前のようにあり、仕事に就くことも難しかった時代に、ルースが弁護士として「100％勝てない」と言われた史上初の〈男女平等〉裁判に挑んだお話です。
学生時代、そして就職活動、彼女は行く先々で差別を受けます。
しかし、落ち込むことはあっても決して挫けない、そして諦めない前向きな姿勢は潔く強く美しい。
そして、夫のマーティンの懐の深さ！彼女の才能に惚れ込み、嫉妬することなく支える彼も彼女の才能を諦めなかったんですね。

1950年代～1970代のクラッシックでレトロなファッションも必見。
うっとりしてしまう。
今現在も差別はありますが、権利を主張できるようにはなってきています。
それはルースを含めた先人たちが闘ってくれたおかげなのだということに改めて気付くことが出来た作品です。

【ビリーブ未来への大逆転】
監督：ミミ・レダー
脚本：ダニエル・スティープルマン
出演者：フェリシティ・ジョーンズ
アーミー・ハマー
ジャスティン・セロー
キャシー・ベイツ
サム・ウォーターストン
製作年：2018年
製作国：アメリカ

※画像はAmazonより引用させていただきました