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チョコレートドーナツ

心にズシリと刺さる、LGBT差別と偏見。映画「チョコレートドーナツ」

昔、勤務していた会社の同僚は、自分のプライベートでもなんでもあけすけに話すので、正直、うんざりしていました。

例えば、中学3年生のお嬢さんが初体験をした話や、高校2年生の息子さんの財布にコンドームが入っていたとか…。
どう返してよいかわからない話題ばかりです。

どうやら、なんでもオープンと言う家庭だそうで…。
家族内でオープンな話題を外部にもオープンと言うのはちょっと違うのではないかなと思っても余計なことを言うと機嫌を損ねるので誰も何も言わなかったな。

でも、一番カチンとしたのは、お嬢さんが会社に来た時のこと。

陸上部だった娘の太ももを指さし、
「ありえないよねー。この太さ。パツンパツン。ダイエットのため、夕飯抜きなんだ」
と言い放ったこと。
成長期の娘の身体のことを何も考えない発言に
「成長期に無理にダイエットさせたら危険だよ?スポーツしてるんだし」
とつい言ってしまいました。
「そうですよねー」
とお嬢さんは言ったのですが、彼女はやっぱり不機嫌に…。

最近、人づてに聞いたところ。
「あの母親のもとにいたらだめになる」
と、お嬢さんと息子さん、遠く離れた祖父の元へ行ったそうです。
子供にそんなことを言わせてしまうなんて…。
子は親を選べないんですよ。

モヤッとしてしまいました。

さて、今回ご紹介する映画は「チョコレートドーナツ」
こちらも相当、モヤモヤしました。



では、あらすじを簡単に

1979年のカリフォルニア。
歌手を夢見ながら、ショーパブでパフォーマーとして日銭を稼ぎ暮らすルディは、客として訪れた検事局のポールと出会います。
ゲイを隠しているポールとは何度も衝突しますが、次第に心を通わせ合い、交際を始めます。

ある日、ルディはアパートの隣の部屋に住むダウン症の少年マルコが、違法薬物を所持・使用し逮捕された母親のせいで、施設へと隔離された事実を知ります。
マルコが施設から脱走を繰り返していることに心を痛めたルディは、マルコを引き取り共に暮らそうとポールを説得します。
ゲイカップルであることを隠し、法的手続きによりマルコの監護者となった2人は本当の両親のようにマルコに愛情を注ぎ、3人で幸せな日々を送ります。
しかし、ポールの上司に招かれたパーティーに出席したことで、事態は思わぬ展開に…。

作品情報

監督はトラヴィス・ファインです。
1970年代のニューヨークのブルックリンで「ゲイの男性が育児放棄された障害児を育てた」という実話に着想を得て製作された映画です。

主演のルディを演じたのはアラン・カミングです。
ゲイや変人、オタク等の役が多く、どれも出てくるだけで主役が霞んでしまうような存在感がある役者さんです。

偏見と差別

この作品はアメリカでは高い評価を受けていましたが、日本では様々なTV局に売り込んだものの「ゲイカップルとダウン症の映画なんて紹介できないよ」と断られ続け、当初は1館のみの上映だったようです。
しかし、映画コメンテーターのLiLiCoさんがTBS『王様のブランチ』にて号泣しながら本作を紹介し、その翌週から上映館が140館に増え、日本でも広く知られるようになった作品です。

作品内でもゲイと言うことで偏見と差別によって妨害される姿が描かれています。
しかし、それは今から50年近く前のお話。
現代の、しかも日本でそのようなことがいまだに起きている現実にはモヤッとどころか憤りを感じました。

作品自体も単なる感動作ではなく、明らかな偏見と差別をこれでもかと描いています。
そこに理不尽に法律まで絡んでくるので一体正義とは何ぞやと頭がグルグルしてしまう。

マイノリティーへの偏見、差別。
理解は進んではいるけれど、無くなってはいないんだろうな。
だからこそ、問題提起してくれるこのような作品は必要なのかもしれないと思いました。
アラン・カミング演じるルディの大いなる母性を感じさせるまなざしに胸を撃たれます。
私はこんな慈愛に満ちたまなざしを見たことがない。
家族としての3人の在り方がとても暖かく、それがいい。
モヤモヤと憤りを感じますが出会えてよかった映画です。

【チョコレートドーナツ】
監督:トラヴィス・ファイン
脚本:トラヴィス・ファイン
ジョージ・アーサー・ブルーム
製作:トラヴィス・ファイン
クリスティーン・ホスステッター・ファイン
チップ・ホーリハン
リアム・フィン
出演者:アラン・カミング
ギャレット・ディラハント
アイザック・レイヴァ
製作年:2012年
製作国:アメリカ

※画像はAmazonより引用させていただきました

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