お金目的？それともフォロワー数？映画「サウスランド」

先日、買い物に行った先で、昔勤めていた会社の同僚に逢いました。
ずいぶん久しぶりの再会です。
当時は子供が同い年ということから、意気投合し、よくお喋りしていました。
彼女の娘さんは会社が学校の近くにあったので、たまに顔を見せに来るのですが、ものすごく美人さんなの。
お母さんも美人だものね。子供ながらに黒やグレーのシンプルで飾り気のないお洋服を着ているのですが、それがまた美人を際立たせているのです。
そして、その子は勉強も出来る子で、成績は常にクラスで一番。6年生の時は生徒会長まで務めたみたい。
私は息子が5年生の時に退職したので、後で聞いたのですが、どうやら中学校でも生徒会長だったとのこと。もちろん、高校は県内でもトップクラスの進学校に。
きっと大学も凄いところに…。しかし、彼女に聞いたところ、少し苦笑しながら
「うーん、してないの」
どうやら、ライブ配信アプリで配信者として活動しているらしい。
「月70万くらい稼いでいるから、何も言えないの。ただ、今年1年だけという約束なんだけどね」
家に帰って息子に聞いたところ、有名らしく、動画を見せてもらったのですが、ああ、女の子って変わるのね。あの凛とした少女がすっかり金髪のギャルに…。
なんか、ちょっぴり寂しくなってしまった。可愛かった子役の子のラブシーンを見てしまった心境に近いかもしれない。

さて、今回、ご紹介する映画は「サウスランド」です。

日頃から有名になりたいと願う女子大生のアリエールは、母親と2人で暮らしています。けれど、母親は恋人に夢中で娘のことはほったらかし…。アリエールはそんな日常に嫌気が差しています。唯一の救いはSNS。ですが、写真を投稿しても一向にフォロワーは増えず…。
ある日、アリエールは前科持ちの青年ディーンと出会い、恋に落ちます。
ある晩、ディーンは父親とけんかして父親を死なせてしまい、ディーンとアリエールはやむなく車に乗って逃避行の旅へ…。
逃走資金を稼ぐため、2人はドラッグストアで強盗を働き、それを自撮りした動画をSNSに投稿したところ、一躍大反響を呼んだことから、SNSで人気を得るために彼らは、ますます犯罪にのめりこんでいくのですが、それはどんどん過激になり…。

監督はジョシュア・コールドウェルです。1983年生まれ。アメリカはワシントン州出身。映画監督・脚本家として活動しています。
高校時代、脚本を書くことから始め、映画製作に移りました。在学中に製作した作品はいくつかの賞をもらったそうです。大学時代に製作した映画は8本。そのうちの1本が2006年
MTVムービーアワードを受賞しました。
他作品に「ザ・ウォンテッド　裏切りのスパイ：MI5」(2016年)などがあります。

主演はベラ・ソーンです。1997年生まれ。アメリカはフロリダ州出身です。
歌手・モデル・ダンサーとしても活動しています。
3人の姉と兄がおり、全員が俳優・モデルとして活動しているようですよ。
彼女の映画デビューは2003年の映画『ふたりにクギづけ』です。
その後は数々のテレビドラマシリーズに出演し彼女がブレイクしたのは2010年、ダンスと友情がテーマのコメディドラマシリーズ『シェキラ!』で演じたダンス好き少女シーシー役です。
また、アメリカでは過激な写真や奔放な発言から「お騒がせセレブ」とも言われているようですよ。

犯罪を繰り返しながら逃避行する恋人たち。古くから映画ではよくあるテーマですね。
「俺たちに明日はない」のボニーとクライドは実在したカップルです。
20代の頃、一時期そんな映画ばかり観ていたことがあります。
「ワイルド・アット・ハート」（1990）「カリフォルニア」（1993）「トゥルー・ロマンス」（1993）もうどっぷりハマっていました。刹那的な逃避行。恋人たちの濃密な世界に憧れていたのだと思います。
さて、そんな期待をしつつ鑑賞した本作ですが、やはり一味違う。
本作の主人公は自分の承認欲求を満たすために犯行をリアルタイムでSNSに流してしまうんですよ。
どんどん増えるフォロワー、調子に乗るアリエール。もう、おバカすぎて腹が立つけれど段々可愛く思えてしまった。
人気獲得のためにどんどん過激な犯罪を繰り返すのですが、意外にも彼氏のディーンはSNSに流すことは最初から反対していて…。
とはいえ、若者でも簡単に銃が手に入るとか、SNS依存とかを痛烈に皮肉った内容は面白い。お酒片手に「バカだなー」なんて突っ込みながら観ると楽しいかもしれないですよ。

【サウスランド】
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監督：ジョシュア・コールドウェル
脚本：ジョシュア・コールドウェル
出演者：ベラ・ソーン
ジェイク・マンリー
アンバー・ライリー
マイケル・シロー
音楽：ビル・ブラウン
撮影：イヴ・コーエン
編集：ウィル・トーベット
上映時間：100分
製作年：2020年
製作国：アメリカ