予測が次々裏切られる!デンマーク産のサスペンススリラー映画「THE GUILTY/ギルティ」
私は電話が嫌いです。
20代の頃に自宅に頻繁にかかってきた卑猥なイタズラ電話と、職場にかかってきた少々ストーカー気味の謎の人物からの電話が原因だと思うのです。
今思えば同じ時期に自宅と職場にかかって来ていたのだから同じ人物だったのかもしれません。
あの頃は知り合いが店長を務めていた今でいうところのカフェでアルバイトをしていたので男性のお客さんが来ると
「この人かもしれない」
と思ってしまい、接客の仕事は楽しかったのですが怖くなり辞めてしまいました。
自宅に来ていた電話もその後はしばらく続いたのですが無言を通していたらいつしか来なくなりました。
以来、電話はかかってくるのもかけるのも苦手になりました。
携帯電話が普及して本当にありがたいなと思っています。
知らない相手からの電話は出ない選択ができるし、いい世の中になったなと思います。
家電や仕事での電話は未だに苦手ですけどね。
特に息子の学校からの電話は別の意味で出るのが怖いです。
「腹が痛いのか?熱?ボールが当たったのか?それともサボった?」
出るまでにしばし逡巡してしまう。
さて、今回ご紹介する映画はデンマークの映画「THE GUILTY/ギルティ」です。
では、あらすじを簡単に
過去にある事件の捜査上のトラブルをきっかけに警察官として一線を退くことになったアスガー・ホルム。
しかし、裁判で元上司が偽証してくれることによって再び一線に復職する予定です。
現在は緊急通報指令室のオペレーターという職に身を置き、電話を通じて小さな事件に応対しています。
交通事故の事故処理手配、強盗の被害者、麻薬中毒者からの電話応答は復職するまでの腰掛程度に思っている彼にはただ面倒くさいだけの仕事です。
そして、裁判を翌日に控えた夜、アスガーは、今まさに誘拐され車で連れ去られているという女性、イーベンからの通報を受けます。
車の発進音やイーベンの声、そして犯人だと思われる人物の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは“見えない”事件に対処しなければならず……。
作品情報
監督はスウェーデン出身のグスタフ・モーラーです。
2015年にデンマーク国立映画学校を卒業し、本作『THE GUILTY ギルティ』は彼の長編第一作目となります。
『THE GUILTY ギルティ』はサンダンス映画祭で観客賞を受賞しアカデミー賞外国語映画部門のデンマーク代表作品に選出されました。
各国の映画賞で称賛された本作はジェイク・ギレンホール製作・主演でハリウッドでのリメイクも決定しているようです。
主演はヤコブ・セーダーグレンです。彼も出身はスウェーデンです。
2000年にデンマークのミニシリーズ『The Spider(原題)』で、一躍注目を集めたということです。
国内外の作品に出演し確実にキャリアを積み上げ『Submarino(原題)』(2011)ではヨーロッパ映画賞の主演男優賞を受賞し『Across the Waters(原題)』(2017/ニコロ・ドナート監督)では助演男優賞にノミネートされています。
音声のみのじれったさ
この作品の上映時間は88分、1時間28分です。
この時間が誘拐事件発生と解決に至るまでの時間とリンクしており、緊張感を画面越しに肌で感じることが出来ます。
そして、全編、ほぼアスガーしか映らない、他の出演者はほんの少し姿を見せるだけです。
序盤は早く現場に戻りたいやる気が感じられないアスガーですが、誘拐されたという女性イーベンの話を聞いているうちに彼女に共感し、助けたいという思いが溢れてきます。警察官の本能もあるのでしょう。
イーベンと話しているうちに犯人であろう人物の目星も付きますが、二転三転する展開にアスガーは困惑し、狼狽してしまいます。
声だけを頼りにするしかない電話という小道具は映画では頻繁に使われていますが、この作品はリアルタイムで主人公と一緒に事件に関わっているかのような緊張感を味わうことが出来ます。
音声のみが頼りなのって妙に生々しく感じました。
そして、この事件はある意味、アスガーにとって自身の仕事に対しての姿勢が問われる側面もあります。
果たして事件は解決できるのか?タイトルの「ギルティ」とは何を表しているのでしょうか?
想いもよらぬ展開に鑑賞後はアスガーも感じたであろう疲労感を感じる一級のサスペンススリラーです。
【THE GUILTY/ギルティ】
監督:グスタフ・モーラー
脚本:グスタフ・モーラー
エミール・ニゴー・アルバートセン
出演者:ヤコブ・セーダーグレン
イェシカ・ディナウエ
ヨハン・オルセン
オマール・シャガウィー
カティンカ・エヴァース=ヤーンセン
製作年:2018年
製作国:デンマーク
※画像はAmazonより引用させていただきました