• HOME
  • ブログ
  • 書籍
  • こんな占い師さんに見てもらいたい!小説「強運の持ち主」瀬尾まいこ著 文春文庫

こんな占い師さんに見てもらいたい!小説「強運の持ち主」瀬尾まいこ著 文春文庫

買い物ついでにたまたま寄った本屋で見た「誕生日占い」。
365日分あるのでものすごく分厚い本です。
以前職場で一緒だった人が「結構当たっていてびっくり!」と言っていたことを思い出し、手に取り自分の誕生日のページを開きました。
(…。やだ、当たってる)
当たっていると言っても、性格の項目の短所の部分です。
―飽き性。最後まで全うしない、短気、先延ばし癖、怠惰…。等々
(終わってる…。人間として終わってる)
当て嵌まり過ぎていてショックをうけ、いいことも書いてあったはずなのに忘れてしまいました。
悪い部分をどうすればいいのか事細かに書いてくれればいいのに…。
直そうと一応努力はするつもり。
でも、結局長続きしないんだろうな。なにしろ、“飽き性で最後まで全うできない性格”なので。

さて、今回ご紹介する小説は瀬尾まいこさんの「強運の持ち主」です。
そうそう、私、運もないんですよ。当たって欲しくないくじばかり引き当てちゃうんです…。息子の学校の役員のくじとか地区の役員決めのくじとか。



では、あらすじを簡単に

吉田幸子、いえ、今は“ルイーズ吉田”が占い師になったのは3年前。
短大卒業後、事務用品を扱っている会社で営業職についていたものの、上司との折り合いが悪く半年で辞めてしまった彼女。会社には何の未練もなかったのですが、収入が無くなるのは痛く、そんな時、アルバイト情報誌で見つけたのが占いの仕事でした。「自給1200円」に強く惹かれ、その日のうちに「ジュリエ数術研究所」のドアを叩いたのです。
1年前に独り立ちしたルイーズ吉田は、今はショッピングセンターの片隅にある占いブースで営業しています。
彼女の元を訪れるのは「父と母どちらを選ぶべき?」という小学生の男の子だったり、好きな人に「もっと私のことを気にしてほしい」と言う女子高生、そして買い物ついでの主婦…。
営業で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田は今日も悩める人々を占います。

作家情報

作者は瀬尾まいこさんです。1974年生まれ、大阪府大阪市生まれです。
中学で国語教師として勤める傍ら、執筆活動を始め、2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞しました。
2019年に『そして、バトンは渡された』で第16回本屋大賞を受賞しています。
この作品は永野芽郁さん主演で映画化され2021年10月29日に公開されるようですよ。
読んだ後にほっこりと胸が暖かくなる優しい作品が多いですね。

ほっこりします。

私は占い師に占ってもらったことはないのですが、本作のルイーズ吉田のような占い師が本当にいるのなら、見てもらいたいなと思ったほど、魅力的なキャラクターです。
彼女は、占い師というよりむしろカウンセラー寄りな感じがします。
数術も一応は参考にするのですが、彼女が一番、重要視するのは相談者自身がどうしたいかというところです。
星が導く未来をそのまま伝えるのではなく、話をしながら読み解いていく。
最悪な結果が出ていても相談者がどうしてもと言えばそれを否定することはありません。
考えてみれば、人に相談をするということは、ある程度自身の中で答えが決まっているのではないかなと思います。
それでも、踏ん切りがつかなかったり、踏み出せなかったりと気持ちが留まっているのかな。
そんな時、第三者に話をすることで背中を押してもらいたいのでしょう。
本人は直感と言っているのですがルイーズ吉田はそこの部分をちゃんと分かっているのだと思いました。
しかし、自身のパートナーや自分のことになるとうろたえたりする可愛らしい部分もあり、そこが更に彼女に魅力を感じるところです。
彼女がパートナーと送る何気ない日常の描写も優しくて温かくてほっこりさせられます。
相談者の抱える悩みを占いではなく自分が動いて解き明かすさまは、ほんの少しミステリー要素も含みワクワクします。
スラスラと読み進めることが出来て、心がほんわかする作品です。

強運の持ち主
著者:瀬尾まいこ
出版社:文藝春秋
発行:2006年5月12日

※画像はAmazonより引用させていただきました

関連記事一覧