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ルルルルズ「僕らの生まれた町」透明感のある唄とサウンドが紡ぐ、どこでもないあなたの町の物語

6人のメンバーから編成されるルルルルズ。
東京を拠点として活躍する彼らは、穏やかでありふれた優しい時間の流れを思わせるサウンドに定評のあるポップユニットです。
2017年にリリースされたセルフタイトルアルバム「ルルルルズ」が緩やかなロングヒットを記録しており、全国各地の音楽愛好家に根強い支持を得ている彼ら。
そんな彼らの待望の3rdアルバムが、2019年9月にリリースされたこの「僕らの生まれた町」です。
これまでの彼らのサウンドの強みであった、Vo.モミの透明感のある澄んだ歌声と、人の体温を思わせるような温かみのあるギターやホーンのサウンド。
それらが合わさり、これまで以上に音楽のジャンルという括りに囚われない、自由奔放で近未来的な雰囲気を思わせる楽曲となりました。
それによって従来の彼らの作品に比べ、さらにルルルルズというバンドの進化を感じることの出来る1枚となったのではないかと思います。

オープニングトラックとなった「白い朝」の、独特な空気感を醸し出すリズムトラックから始まる華やかな輝きを放つイントロ。
作品の冒頭から、早速ルルルルズというユニットの持つ魅力的な音楽性を感じることができるようになっています。
その後に続く「いつも通り」「ニュータウン」もバンドの持つ不思議な温かさはそのままに、見慣れた街の風景をいつもと少し違う目線から見ているかのような、毎朝の仕事や学校に向かう道のりでいつもと一本違う通りを選んでいるかのような。
そんな誰にでも経験のある、ありふれた生活の中に時折訪れる新しい空気を纏うかのように作品は進行していきます。
その中でより一層彼らの楽曲の持つ温かさと深みを増すのが、学生の頃に一度は聴いたことのあるであろう合唱曲「切手のないおくりもの」と同じ歌いだしで始まる「わたしからあなたへ」。
どちらの歌に関しても、音楽や歌というものが伝えるたくさんの温かい普遍的なメッセージについて歌っている楽曲です。
しかしマクロなメッセージ性を持つ合唱曲に対し、この「わたしからあなたへ」ではよりミクロな、私たちの生活そのものに肉薄した温かなメッセージが、楽曲の中には込められているのではないでしょうか。

忙しない毎日の中で、もしかしたらあなたは自分が思っている以上に、気づかずたくさんの大切なものを取り零しながら日々を生きているのかもしれません。
見過ごしてしまいそうなくらい小さな、けれど確かに温かさを持ったたくさんの欠片。
それは時に誰かの心配や優しさであったり、あなた自身の言葉に出来ないもどかしい感情、そしていろんなことを理由に諦めていった些細な出来事なのかも。
そんな小さな欠片を1つずつ拾い集めて、もう一度自分の心の中にじんわりと溶かしていく。
そうしたゆっくりとした時間を過ごす丁寧な暮らしが、時として何よりも人の心を癒す薬ともなるのです。
ルルルルズの音楽は、まさにそんな時間を過ごすお供として皆さんに聴いて頂きたいヒーリングミュージック。
その心地良いサウンドが、音色が、あなたの心を少しずつ柔らかに解してくれることでしょう。
彼女たちの音楽を聴くことで文字通り、普段の生活の中で見える光景が変わるような、いつも自分が暮らす町の景色がほんの少し変わるような。
そんな感覚をぜひ一度感じてみてはいかがでしょうか。

僕らの生まれた町
アーティスト:ルルルルズ
レーベル:ROUROUROUROUS
発売日:2019年11月6日

※画像はAmazonから引用させていただきました

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