こんな社会は最悪だ！な近未来SFサスペンス　映画「セブン・シスターズ」

私の子供時代に「おそ松くん」という漫画がありました。
「天才バカボン」の作者赤塚不二夫さんがバカボン以前に描いた作品で、赤塚さんがギャグマンガ家としての人気を確固たるものにした作品です。
主人公は男の子の六つ子です。
しかし、印象に残っているのは「シェーーーー！！！」というギャグで有名な出っ歯の「イヤミ」やおでん大好きな「チビ太」です。
六つ子に関してはなんだかうっすらとしています。
しかし、このまま眠るのはもったいないと思ったある週末の深夜。
ＣＳ放送のアニメ専門チャンネルを付けたら、何やら見覚えのあるキャラクターが…。
すぐさま息子を呼び、
「このアニメなに？」
と聞く私。
息子は
「ああ、『おそ松さん』だよ。女子に大人気で、すでに3期の放送も決まってる」
と即座に答えてくれました。

「！！！おそ松くん？」
「“さん”な」
「六つ子の？」
「そう」
「デカくない？」
「大人になってるんだよ。しかも6人全員ニート」
「クズじゃん」
「うん、クズ。でも面白いらしいし観れば」
「…」

なんと、もう2015年から第1期が放送されており、2020年の10月からは第3期も放送されているようです。
そして、これがまたシュールで面白いのです。
6人全員ニート。なのに競馬もパチンコも好き。
一人一人の個性がはっきりとしていて掛け合いが秀逸なんです。
少々下品でブラックなギャグの連続ですが、ダルダルでユルユルで深夜に観るのにちょうどいい！
と、いうわけで、すっかり大人な六つ子たちにハマりつつある私です。

さて、今回ご紹介する映画は「セブン・シスターズ」です。六つ子の更に上を行く“七つ子”のお話。“シスターズ”とあるように女性ですよ。

そう遠くはない近未来。地球の資源が枯渇し、戦争や難民問題により主要国はみな滅び、世界はヨーロッパ連邦が君臨することに。
一方、遺伝子組み換え作物の影響によって、多生児の出生率が増加しています。
人口増加の抑止のためヨーロッパ連邦は、強制的な人口抑制を行います。
いわゆる一人っ子政策である「児童分配法」です。
二人目以降は、地球の資源が回復するまで特殊機械で冷凍睡眠させるというものです。
そんな中、セットマン家で七つ子の姉妹が誕生します。
母親は出産で命を落とします。
7姉妹の祖父であるテレンス・セットマンは生まれた7人の娘を政府に察知されないよう秘密裏に育てることにしました。
そして彼女たちを“月曜日”～”日曜日”と名付け、それぞれが名付けられた曜日にのみ「カレン・セットマン」という1人の人格を演じることで外出を許可します。
そうして児童分配局を欺くなか、30年が経ったある日、7姉妹の長女“月曜日”が
夜になっても帰宅しないという事態が起こり…。

監督はトミー・ウィルコラです。ノルウェー出身の映画監督、脚本家です。
2007年に『キル・ブル 〜最強おバカ伝説〜』で映画監督デビューしました。
この作品はクエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」のパロディー映画として注目されました。

主演の7姉妹を演じるのはノオミ・ラパス。スウェーデン出身の女優です。
スウェーデン発の大ヒットスリラ―小説を映画化した『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』（2009年）でヒロインのリスベットを演じ、ブレイクしました。
そして、2011年公開の『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』でハリウッド作品に初出演します。
「エイリアン」の前日譚となるリドリー・スコット監督のSF大作「プロメテウス」（2012年）では主演を務めています。

人々の生活や行動がことごとく監視され、関所のような検問所が配置されている近未来の管理社会。
一人っ子政策のためにここまでするか？と感じるほどの厳しさです。
そんな中、7姉妹はひとりの人格を曜日ごとに演じることで30年乗り切ってきます。
（日曜がいいな…、と思うのはわたしだけではないと思いたい）
その7姉妹を1人で演じるのがノオミ・ラパス。家の中ではそれぞれが個性を出してもいいという設定の中、7人を見事に演じました。
その演技力に圧倒されます。アクションもキレッキレです！

確か「おそ松さん」の中で「俺たちは5人が敵だ」というセリフがあったような気がします。
この映画を観てそのセリフが浮かびました。

7姉妹は決して敵同士ではありません。しかし、あることがきっかけで築き上げた統制は崩れていきます。
果たして月曜が消えたのはなぜなのでしょう？
最後まで息を飲むスリリングな展開に目が離せません。

【セブン・シスターズ】
監督：トミー・ウィルコラ
脚本：マックス・ボトキン（英語版）
ケリー・ウィリアムソン
出演者：ノオミ・ラパス
グレン・クローズ
ウィレム・デフォー
製作年：2017年
製作国：イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー

※画像はAmazonより引用させていただきました