新作「STARY SHEEP」が待ちきれない!そんなあなたに贈る米津玄師名曲5選
2018年の「Lemon」の大ヒットから、一躍国民的アーティストとしてその存在を多くの人に知らしめることとなった米津玄師。
その後もドラマやCMソングに引っ張りだこの彼が、ついに来る2020年8月に待望の新アルバムをリリースすることを発表しました。
一報を聞いた時、彼の新作を待ちきれない!と喜んだ方も多いことでしょう。
もちろん筆者もその一人です。
そこで今回は、彼のVOCALOIDプロデューサー時代からの筋金入りのファンである筆者が、これまでの米津玄師の作品の中から特にオススメしたい隠れた名曲を5曲ご紹介。
彼の待望の新作への逸る気持ちを、さらに高めて頂ければと思います。
海の幽霊
最初にご紹介するのは、先日発表となった彼の新作「STRAY SHEEP」にも収録が決定している1曲から、「海の幽霊」です。
「Lemon」や「馬と鹿」、「パプリカ」などの名だたる名曲が収録される予定の今作。
それでも現在発表されている収録曲の中で、この曲に勝るダイナミックさを誇る曲はないのではないかと思います。
ご存知の方もいるかと思うのですが、この曲は松本大洋原作の漫画「海獣の子供」のアニメ映画化に際し書き下ろされた主題歌。
壮大な海という自然へ人間が対峙する様を描いたこの映画に相応しい、素晴らしい1曲となっています。
海や山などで、雄大な自然のアクティビティを経験したことがある。
そのような方の中には自然の素晴らしさと共に、自然の恐ろしさを肌身に染みて感じたことのある方もいるのではないでしょうか。
眼前に広がる途方もない大自然の中で、自分という人間の存在のなんと小さいことか。
少し気を抜けばその自然に、人1人の身体などあっという間に飲み込まれてしまう。
自然の恐ろしくも荘厳な景色が、目を閉じればありありと浮かんでくるような、まさにそんな1曲となっています。
映画「海獣の子供」のシーンが使用されたMVもぜひあわせてお楽しみ頂くと、よりその感覚を強く味わうことができることでしょう。
TEENAGE LIOT
続いてご紹介するのは「TEENAGE RIOT」。
シングル「Flamingo」の両A面曲として発売されているこの曲ですが、YouTubeなどの再生回数から見ても、やはり表題曲に比べ注目度の低い曲となってしまっているようです。
しかし実態は、米津玄師の楽曲の中でも指折りのスタイリッシュさを誇る1曲なんですよ。
近年の彼の楽曲の中では比較的珍しい、バンドサウンドを前面に押し出したアレンジとなっているこの曲。
ドラムのフレーズを合図にして一気に盛り上がるサビなどは、聴いていると思わず心の奥が熱くなります。
何かに挑戦する時や心が折れそうになっている時など、自分を鼓舞したい時のBGMにもぴったりの楽曲です。
コンサートホールやドームなどのライブでも、非常に映える曲であろう「TEENAGE LIOT」。
新譜にも収録予定の為、アルバム発売に伴い開催されるであろう彼のライブツアーへ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
爱丽丝
シングルやタイアップとなっている楽曲にも、もちろん名曲はたくさんあります。
しかしここからはそうではない、有名曲以外を支持する米津玄師ファンにこそ人気の高いアルバム収録曲の中から、特にオススメしたい曲をご紹介しましょう。
まずは4thアルバム「BOOTLEG」に収録の「爱丽丝」。
この曲、初見でタイトルを読める人はほぼ100%いないのではないでしょうか。
そういった意味でも非常に興味を引くこの曲、タイトルの読み方は「アリス」。
皆さんご存知、不思議の国のアリスをモチーフにした1曲です。
尖ったサウンドを前面に押し出しながらも、どこかエキゾチックなアジアンテイストを織り交ぜた非常に個性的な楽曲です。
お洒落な楽曲の雰囲気はもちろんなのですが、もう1点特筆すべきはこの楽曲のレコーディングに参加したアーティスト陣。
邦楽バンドに詳しい人であれば、思わず「おっ」と唸るような面々が参加したことでも話題になりました。
そのメンバーとは、八十八ヶ所巡礼のベーシスト・マーガレット廣井、元パスピエのドラマー・八尾拓也、そして今を時めくKing Gnuのギタリスト・常田大希。
一部のKing Gnuファンの中には、もしかしたらこの曲がきっかけで彼らを知った、という人もいるのかもしれませんね。
元々米津玄師の飲み仲間であったという彼ら3人ですが、全員パフォーマンスは折り紙付きのミュージシャンばかり。
ぜひ彼らのプレイにも耳を傾けながら、この曲を聴いてみては。
花に嵐
さらに2ndアルバム「YANKEE」に収録のこの楽曲、「花に嵐」も昔からの米津玄師のファンの中では非常に評価の高い1曲です。
曲タイトルの「花に嵐」は諺でもあり、良いことには邪魔が入りやすい、ということを意味します。
月に叢雲花に風、なんて言葉を聴いたことのある方も多いことでしょう。
この曲が収録されている2ndアルバムは、彼がメジャーデビューを果たしたばかりの頃に作られた作品。
その為、今のような聴き馴染みの良い曲ばかりが入っている音源ではありません。
しかしその中には、当時の米津玄師が作ったからこそ、多くの人の胸を打ち続けるこの「花に嵐」のような楽曲も確かに存在しているのです。
疾走感の溢れるシンプルなバンドサウンドの中で紡がれる、「全てはいつか終わる、だからこそ今この瞬間の感情を大切にしたい」という願いが込められた歌詞。
ふとした時に思わず鼻の奥がつんとしてしまうような、切なさが込められた1曲です。
春雷
最後にご紹介するのは、先述したアルバム「BOOTLEG」に収録の「春雷」。
彼の各種SNSでのフォロワーが100万人を達成したことを祝して、MVが制作された1曲でもあります。
ポップな打ち込みの音の中で、どこか物悲しく切なさを覚えるような人間味のあるメロディが鳴っている、なんとも不思議なサウンドのこの曲。
公開されたMVでは、ビビッドなライトに照らされた無機質な空間でパフォーマンスを披露する米津玄師自身が映し出されています。
先述した楽曲の世界観を十二分に引き立てるような、近未来感のある素晴らしい作品です。
しかしこの曲、私個人として注目して頂きたいポイントは、彼の楽曲の中でも群を抜く風流な歌詞の表現です。
元々春雷という言葉も、ただ単に春に鳴る雷のことではなく、季節の変わり目、春の訪れを告げる時期に鳴る雷を指す季語ですね。
この曲で歌われているのは、この春雷に準えた恋の訪れ。
自らが想いを寄せる相手を表現する日本語や、彼女の存在を前にして自分の中で騒めく心の機微や揺れ動きを表す表現。
その文学的な歌詞はまるで、一遍の詩を読んでいるかのような感覚を覚える言葉ばかりとなっています。
この曲からは、米津玄師というアーティストの類稀なる繊細な言葉遣いの才能の真髄を、ぜひ感じ取って頂ければ幸いです。
※画像は米津玄師ソニーミュージック公式サイトより引用させていただきました