オジサンたちがストリップ？様々な社会問題の縮図をコミカルに描いた映画「フル・モンティ」ピーター・カッタネオ監督 ロバート・カーライル主演

20代の頃、東京に住む友人Aちゃんの結婚式に参列するために、地元の友人3人と上京した時のこと。
Aちゃんは何の仕事をしていたのか定かではないのですが、20代にして部下を数人抱えていたようです。
私生活も高層マンションを購入したりとかなり豊かな生活をしていたみたい。

前日入りした私たちを彼女の部下のイケメン君が、新宿にある高級ホテルで開催されていたラスベガスショーに連れて行ってくれました。
全部Aちゃん持ちでした。
あ、ちなみに夕食もそこのホテルの和食レストランで、鱧をごちそうしてもらったっけ。
本場のダンサーたちが繰り広げるショーは、煌びやかでとてもゴージャスでしたよ。
お酒をいただきながら最前列で堪能しました。
クリスティーナ・アギレラとシェールが共演した映画「バーレスク」の世界そのものでした。
お色気満点の大人向けのショーだったな。
風船のように大きな胸のダンサーが舞台から降りてきて、私の頭にその胸を乗せたのには驚きましたけどね。
重かったですよ。
なんで私だったのかしら？びっくりしてたのが伝わったからかな？

さて今回ご紹介する映画は「フル・モンティ」オジサンたちが頑張って脱ぎます。
では、あらすじを簡単に。

～イギリス北部の街シェフィールド。鉄鋼業で栄えたこの街も今は誰もが失業中で生活も苦しい。ガズ（ロバート・カーライル）は失業してから6ケ月、共同親権を得るための養育費700ポンドがなくて、別れた女房マンディ（エミリー・ウーフ）に息子のネイサン（ウィリアム・スネイプ）を奪われそうです。そんな時、人気の男性ストリップ・グループの巡回ショーに潜り込んだガズは、女性たちの熱気と歓声に驚きます。これは金儲けのチャンスだとひらめいた彼は、仲間集めの為のオーディションを開始します。そこへ集まったのは、やはりそれぞれに事情を抱える男たちでした。そしてコーチには社交ダンスが得意な元上司ジェラルド（トム・ウィルキンソン）を選び、それぞれ事情を抱えた6人のメンバーは練習を開始するのですが…。

監督のピーター・カッタネオはこの作品が長編初監督です。
主演を務めたロバート・カーライルはこの作品で英国アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
若者を中心に人気を集めた「トレインスポッティング」ではアルコール中毒で喧嘩中毒なベグビー役を演じていました。
昨年公開されたビートルズが消えてしまった世界を描いたイギリスのファンタジーコメディ映画「イエスタデイ」では、78歳のジョン・レノンを演じていました。
様々な役柄を演じ、その幅広さと確かな演技力に定評がある役者さんです。

さて、この作品に出てくる6人のメンバーたちは、それぞれに失業問題、親子の問題、夫婦の問題、ジェンダー、同性愛、人種問題など、様々な社会問題の縮図を抱えています。
そんな彼らの境遇が丁寧に時にコミカルに描写されていて、それが本作をより深みのある作品にしているのではないかと思います。

情けない主人公と息子ネイサンの関係性にもホロッとさせられますが、メンバーの太ったデイブが、自分のみっともない体形に悩み「俺の裸なんか誰も見たがらない」と嘆いた時に彼の妻の返した言葉は、今思い出してもウルッとします。
もう、愛にあふれています。
なんていい女なんだ！
是非、作品を観て感じてください。

新型肺炎の感染拡大で様々なイベントが中止になっているこのご時世。
笑って泣ける作品でおうちの中だけでもハッピーに過ごせますように。

※画像はAmazonより引用させていただきました