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【クラシック入門】フィギュアスケート人気曲「ボレロ」に隠された仕掛け

みなさん、クラシックの名曲「ボレロ」はご存じでしょうか?

こちらの曲です↓

タイトルを聴いてピンとこない方も、どこかで聴いたことがあるはず!

「ボレロ」は、フジテレビ系のフィギュアスケートのテーマソングに選ばれていたり、フィギュアの演技曲としても人気があります。
冬季オリンピックが行われるこの2021/2022シーズンは、宇野昌磨選手がフリーの楽曲として採用しています。この冬、注目の曲なんです!

そして、実はこの「ボレロ」という曲、クラシック音楽の中でも珍しい特徴がいくつかあって、深掘りしていくとおもしろいんです!
今回はこの「ボレロ」の聴きどころについて、詳しく解説してみようと思います♪

15分間、同じメロディーを繰り返すだけ!?

「ボレロ」の曲の長さは、だいたい14~15分間ほど。
一般的なポップスの曲が4~5分くらいなので、その3倍くらいの長さとなります。普段クラシックを聴かない方にとっては、かなり長い曲に感じますよね。

そして、実はその15分間のうちほとんどの時間が、たった2パターンのメロディーを繰り返すだけで構成されているんです。

「え、15分間も同じメロディーを繰り返す曲なんて、途中で飽きてしまうんじゃ?」と思いますよね…!
でもこの曲には、最後まで全く飽きずに聴き入ってしまう魅力があります。

それは、この曲に『同じメロディーでも飽きさせないような仕掛け』がたくさんあるからなんです!

楽器の魅力を活かしたオーケストレーション

まず注目したいのが、この曲が『オーケストラの楽器の個性』を最大限に活かしている、ということ。

曲の前半は、スネアの刻みから静かにスタートして、まずはフルートがメロディーを奏でます。
そして、クラリネット、ファゴットと、様々な管楽器がリレーをするようにメロディーを奏でていくんです。同じメロディーの繰り返しでも、違った楽器の音色を楽しめるので飽きずに聴けちゃうんですよね。

また、ちょっと珍しい楽器がメロディーを担当していたりもします。

例えば、4番目にソロを吹く楽器は「小クラリネット」。普通のクラリネットよりも小さくて、音の高い楽器です。そして5番目の楽器は、「オーボエ・ダモーレ」という、オーボエよりも少し大きくて、音の低い楽器。
普段あまり耳慣れない楽器の音色をソロで聴けるのも、とっても面白いポイントです。

サックスは、クラシックでは珍しい!?

そして、7番目・8番目にメロディーを吹く楽器は、テナーサックスとソプラノサックス。
実は、この「サックス」がクラシック音楽に登場するのって、割と珍しいことなんです。

なぜかというと、サックスは19世紀半ばに作られた楽器なので、バッハやモーツアルト、ベートーヴェンが生きた時代には存在していませんでした。ですので、その頃のクラシック音楽にサックスは登場しません。

この「ボレロ」は、1928年にフランスの作曲家ラヴェルが作曲しました。ですから、その頃にはサックスが普及していたということになります。こうやって楽器の歴史が知ることができるのも、興味深いですよね。

不思議な響きのハモリ

この曲の前半は管楽器がソロでメロディーをリレーしていきましたが、中盤からは少しずつ楽器の数が増えてきます。
楽器が徐々に増えることで、複数の楽器の組み合わせによる音色の変化も楽しめるように出来ているんですね♪

そして、曲の中盤からは、メロディーの演奏方法にも変化が加わります。
メロディーが、「ハモリ無し」と「ハモリ有り」で交互に演奏されるんです。
こうやって変化をつけることで、同じメロディーの繰り返しでもさらに楽しませてくれるんですよ…。ラヴェルさん本当にすごいです…。

また、この「ハモリ」の音にも特徴があります。
ハモリのパートをよく聴いてみると、綺麗にハモるだけじゃなく、わざと調和させないように計算された音も多く使われています。この不協和音が、この曲の不思議な魅力を醸し出しているんです。

痛快なラスト

曲の終盤は楽器の数がぐんと多くなり、メロディーだけではなく、伴奏のパートも分厚くなっていきます。
じわじわと盛り上がり続けて、最後の最後、ラスト30秒でようやくメロディーが変わります。そして、そのまま一気にラストスパートを迎えて曲が終わるんです!

この曲の終わり方が、なんとも爽快で気持ちいい!同じメロディーをさんざん繰り返してきたからこそ、そこで貯めたエネルギーが最後に一気に爆発します。見事な曲のラストです!

最初から最後まで、刻み続けるスネアドラム

さて、この曲でもうひとつ注目しておきたいのが、スネアドラム(小太鼓)です。

この曲の出だしは、スネアドラムが刻むリズムがとても印象的ですよね。
そしてその後、スネアドラムは、曲の最後までずーーっと同じリズムを刻み続けています。このリズムが、この曲を骨組みとして支えているんです。
14分以上も、一定のリズムを繊細に刻み続けるなんて…。演奏者は、技術力・精神力ともになかなか大変なことだと思います。このスネアの『職人技』にも、ぜひ耳を傾けてみてください!

深掘りポイントたくさんの名曲

クラシックの名曲「ボレロ」の深掘り、いかがでしたか?

同じメロディーを繰り返し続けているのにこんなに飽きさせない曲は、他にはなかなかないと思います。改めて偉大な曲だなぁと感じましたね。

こうやって色んな視点から聴いてみると、クラシック音楽ってとても面白いんです。ぜひこれを機に、色々聴いてみてください♪

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