never young beach「やさしいままで」大人だからこそ見えるはず…いつも美しいわけじゃない、尊い愛の形について
タナダユキ氏原作の小説、「ロマンスドール」。
作者本人がメガホンを持ち、2020年1月に映画化された作品です。
原作の儚くも穏やかな雰囲気や切ない情景が、W主演となった蒼井優さんと高橋一生さんによってまるでそのまま切り取られたかのように描かれているこの映画。
その主題歌となったのが、今回ご紹介するnever young beachの「やさしいままで」となっています。
ご存知の方もいるかもしれませんが、この楽曲を歌うnever young beachのボーカルを務めるのは主演の高橋一生さんの実の弟である安部勇麿さん。
奇しくも映画と主題歌という形で、夢の兄弟共演が実現した作品となったのでした。
お互いに隠し事を持つ、とある夫婦の十数年の軌跡を描いた本作。
夫婦の性事情やセクシュアリティな話題にも触れている作品となっていますが、そこには決していやらしさはありません。
むしろそれを描くことによって、この夫婦と同世代の人々には身に迫るリアリティをもったメッセージが投げかけられる形となっています。
2人の少しいびつな、けれど確かな愛の形や夫婦の絆に多くの人が涙したこの映画。
穏やかに優しく、全てを包み込むようなボーカル安部勇麿さんの声は、この物語をまるで壊れ物を扱うかのように繊細に彩っているのです。
Never young beachはこの楽曲を書き下ろした際に、このようなコメントを寄せています。
「愛することは許すということなのかもしれない」と。
誰かに愛を持って接する、さらに言えば彼らが相互に愛を持ちあっているという状況は、いつも全てがベストな状態ではありません。
夫婦という形だけでなく、親と子、友人同士の間でもそれは同じこと。
愛するからこそ衝突して、傷付け合って、時には相手を永遠に救われる事のない闇に追いやることもあるのかもしれません。
けれど、大人と呼べる歳になったからこそ、それも愛の1つの形なのだと自信を持って言えるのでしょう。
歳を取るうちに、私たちは人を愛するということが常に美しいものではないと知ってゆきます。
そしてだからこそ、人を愛するということがどれだけに大業で尊いものかという歌のメッセージが、これほどまでに胸に響いてくるのです。
この「やさしいままで」という歌は、必ずしも綺麗で美しいだけが全てではない、大人だからこそ理解できる愛の形について歌っています。
あなたが時には傷付きながら、ぶつかりながら、それでも愛を持って接している人は一体どんな人たちですか?
彼らと自分の繋がりについて、そしてお互いの愛とこれからのことについて。
時にはゆったりとした時間の中でそんなことを考え直してみるのも、素敵な時間の使い方なのかもしれません。
やさしいままで
アーティスト:never young beach
レーベル:Speedstar
発売日:2020年1月17日
※画像はAmazonから引用させていただきました