映画「箱入り息子の恋」まっすぐな2人を手放しで応援したい!

トモちゃん

トモちゃんは私の幼馴染の女の子。
色白でアレルギーをもっていたので、あまり外で遊んだ記憶はありません。
彼女のお母さんは、お転婆な私たち姉妹を警戒していたようで、遊びに誘いに行っても3回に1回くらいしか遊べませんでした。

いつもきれいなお洋服を着て、頭には大きなリボン。
守ってあげたくなる可愛らしさ。

トモちゃんは妹たちが私のことを「おねえちゃん」と呼んでいたので彼女もおねえちゃん」と呼ぶように。
妹たちはそれを気に入らず「あんたのお姉ちゃんじゃない」と彼女を怒ったようです。
彼女が「おねえちゃん」と呼ばなくなったと同時に、妹たちは私を呼び捨てに。今もそう。

トモちゃんはピアノが上手で、自宅の庭にトモちゃん専用のピアノ室がありました。
彼女の家からはいつもピアノの音色が聞こえてきました。

おとなしくて可愛らしいトモちゃんを母は「箱入り娘」と評していました。
「爪の垢を煎じて飲ませたい」とも。
公園の松の木から飛び降りて骨折するような娘たちでしたので気持ちはわかるよ。

そんな彼女は大人になり保健室の先生になったそうです。
しかしトモちゃん、大学進学により親から離れたことでタガが外れ、大型バイクの免許を取得し日本全国をバイクで巡っていたようです。
そして、出会った男性と出来ちゃった結婚をし、更にツーリング仲間との不倫が原因で離婚。
現在はシングルで子ども2人と暮らしているらしい。
親とは絶縁状態のようです。

トモちゃん、その破天荒さ嫌いじゃないよ。
生きている蛇の尾を持って振り回して私を追いかけた日のことを鮮明に覚えているよ。

さて、今回ご紹介する映画は「箱入り娘」ではなく「箱入り息子の恋」です。

では、あらすじを簡単に

自宅と職場の市役所をただ行き来する日々を送っている天雫健太郎。
内気で愛想がなく、彼女いない歴=年齢の35歳。
唯一の趣味はペットのカエルの飼育です。
見かねた両親は親同士が婚活する“代理見合い”に参加します。
そして、今井家の美しい一人娘、奈穂子とお見合いすることになりました。
しかし、実は彼女が盲目であるということは知らずに…。
それでも奈穂子と惹かれあい、初めての恋に落ちた健太郎。
「好き」という感情を一気に爆発させる彼ですが、行く手には思わぬ障害が待ち構えていたのです――。

作品情報

監督は市井昌秀さん。
漫才グループ「髭男爵」の元メンバーで、「髭男爵」以前には「笑い飯」の哲夫さんとのコンビを組んでいたようですよ。
「箱入り息子の恋」は第54回日本映画監督協会新人賞を受賞しています。
監督作品の「台風家族」(2019年)が出演俳優の逮捕で公開が延期されたことは記憶に新しいですね。

主演の「箱入り息子」を演じたのは星野源さんです。
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言中に「家で踊ろう」という歌を動画で配信したことは話題になりましたね。
さまざまなジャンルで才能を発揮しています。

盲目の菜穂子を演じたのは夏帆さん。
清純派のイメージですが、性格は「竹を割ったような男らしい性格」と周囲の方に評されています。

脇を固めるのは平泉成さん、森山良子さん、大杉漣さん、黒木瞳さんです。

絶妙な配役

星野源さんはこういった表情に乏しく内向的な役に絶妙にハマっているのはなぜなのでしょう?
主題歌と共にブームとなった「逃げ恥」で演じた平匡さんにも通じるものがありますが、この作品で演じる健太郎はそこに少しの気持ち悪さをブレンドした感じです。

盲目の菜穂子を演じた夏帆さんは、目線の定まらない様子などリアルに演じており、儚さと純粋さが際立ち美しいの一言。

2人のぎこちない恋の始まりにホッコリしてしまいます。

大杉錬さん演じる菜穂子の父は娘を心配するあまり、頼りない健太郎を毛嫌いします。
行き過ぎた感じは否めません。
しかし、障害を抱えた娘に対しての深い愛情ゆえのことだと考えれば仕方のないことなのでしょう。

ロミオとジュリエットのような二人の恋。
まっすぐでピュアな二人がとても可愛らしい。

雨のシーンが多くありますので、この梅雨の時期にピッタリな映画だと思います。

【箱入り息子の恋】
監督:市井昌秀
脚本:市井昌秀・田村孝裕
出演者:星野源
夏帆
平泉成
森山良子
大杉漣
黒木瞳
2013年:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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