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シュールでナンセンスなフランスの大人向けアニメ映画「ベルヴィル・ランデブー」シルヴァン・ショメ監督

私は幼少時、母と遊んだ記憶はあまりないのです。
小学校の頃の母の記憶といえば、体調と機嫌があまりよろしくない時のほうが多かったように思います。
学校から帰ってきた時に、寝る前に髪をセットするために巻き付けたカーラーがそのまま頭にある時は、体調か機嫌が悪い時なので、おとなしくしていたような気がします。
しかし、私の息子、(母の孫ですね)とは、よく遊んでいたんですよ。
暖かい時期は庭でボール遊びをしたりバトミントンをしたり、冬になるとそり遊びをしたりと、むしろ息子よりも母のほうが楽しんで遊んでいる姿を見て私は驚きました。
「私たち姉妹とはあまり遊ばなかったよね?」
と聞いた私に、
「だって、かわいいんだもん。孫ってこんなに可愛いとは思わなかったんだもん」
「…だもん」って、母よ…。特殊詐欺に引っ掛かるよ、母。確実に。

さて、今回ご紹介する映画はウチの母よりもっと孫愛が強いおばあちゃんが大活躍する「ベルヴィル・ランデブー」です。
では、あらすじを簡単に。

~第二次世界大戦後のフランス、両親を亡くし、一人寂しい孫のシャンピオンを元気づけようと、おばあちゃんはテレビで人気のトリオ歌手”トリプレット”の番組を見せたり、ピアノや子犬を与えたりするのですが、シャンピオンはどれにも興味をしめしません。でもある日、おばあちゃんはシャンピオンのベッドから自転車の写真がスクラップされたノートを見つけます。そこでおばあちゃんはシャンピオンに三輪車を与えました。シャンピオンは喜んで乗り回します。やがてシャンピオンは成長し、ツール・ド・フランスに出場するためおばあちゃんとトレーニングを重ねる日々。しかし大会中にシャンピオンはマフィアによって連れ去られてしまいます。おばあちゃんと犬のブルーノはシャンピオンを追って大都市ベルヴィルにたどり着きます。おばあちゃんはトリプレットたちの助けを得て、シャンピオンの救出に奔走しますが…~

監督のシルヴァン・ショメはこの作品が初長編アニメーション映画です。
第76回アカデミー賞で長編アニメ映画賞、歌曲賞がノミネートされたほか、NYやLAの批評家協会賞を受賞するなど2003年の映画賞レースを席巻した作品です。
世界の優れたアニメーションを、ジブリ美術館がセレクトし、広く紹介する活動を行っている「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」でも紹介されています。

ヨーロッパのアニメーション作品といえば「タンタンの冒険」が有名です。
この作品のパッケージを見るとセピアを基調にした優しい色使いなど似ていますね。
ですが、この作品の奇妙にデフォルメされた登場人物たちは、タンタンと全然違う。
怖いんですよ。はっきり言って不気味です。
下手に子供に見せるとトラウマになりかねないレベルです。
ですので、大人向けのアニメーションですね。

ストーリーはとてもシンプルなのですが、登場人物たちが住む部屋の造りや日常生活の営みはリアルに描かれています。
でも、カエルやオタマジャクシ料理は勘弁してほしい。
色彩のトーンは低く、けれどとても繊細にノスタルジックに描かれている建物などの背景は、一枚一枚切り取ってポストカードにしたいほどお洒落です。

セリフが少ないだけに、音楽が重要な位置を占めていて、特にスイングジャズ風味のBGMや、おばあちゃんが自転車のホイールで奏でる繊細な音色、トリプレットとおばあちゃんのセッション、どれをとっても最高に素敵でこの作品にうまくマッチしています。

言葉で語る作品ではなく、(本来アニメってそうですよね。「トムとジェリー」とかセリフないですよね)絵と音楽で魅了させられる、クオリティの高い作品です。
シュールでナンセンスなフランスの大人向けのアニメは、おいしいワインのお供にもいいかも。

※画像はAmazonより引用させていただきました

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