その場所が世界 稲垣吾郎主演映画「半世界」

休日の午後、買い物帰りに車を運転中、FMラジオから懐かしい音楽が流れてきました。
「おお!!」
思わず声がでてしまいました。
どうやら特集が組まれていたようです。
懐かしさと嬉しさのあまり家に着くまでノリノリで一緒に歌ってしまった。
不思議とちゃんと歌詞も覚えていて…。それだけずっと聴いていたということですね。大好きだったんです。
もう20年以上も前のことですが、妹たちと3人でコンサートにも行ったな。
チケットの入手は人気があるので困難といわれていたのですが、運よく手に入れることが出来たんですよ。
当時は電話予約が主で、人気のあるアーティストだと1時間もたたないうちに完売してしまうのです。
電話が混雑して繋がらない状態がザラでした。でも、繋がったんですよ。奇跡です。
もう、あれで運を使い果たしたのかもしれない。
コンサートは楽しかったな。とっても。夢のようでした。

さて、今回ご紹介する映画は「半世界」です。
ラジオから流れていた曲はSMAPの曲。そして本作の主演は当時の私の推しメン稲垣吾郎さんです。



では、あらすじを簡単に

高村紘と岩井光彦、沖山瑛介の3人は学生時代、ずっとつるんでいた三人組でした。
紘は父親の跡を継いで地元で備長炭職人をしています。
妻と中学3年生の一人息子がいます。
後を継いだとは聞こえはいいのですが、要は成り行きで継いだようなもの。
家族を食べさせるために働く。それだけです。経営もあまり芳しくはありません。
そんななか、自衛官を退官した瑛介が8年ぶりに地元に帰ってきました。
ボロボロの実家に住もうとする瑛介を見かけた紘は、雨戸の修理など何かと世話を焼きます。
心ここにあらずな様子の瑛介が心配だったのです。
紘は引きこもりがちな瑛介を引っ張り出し、炭焼き業を手伝わせます。
瑛介は木を切り出すところから運搬まで1人で行っている炭焼き業の大変さに驚きを感じます。
仕事の後は光彦を入れた3人で飲みに行ったり、海辺で話をしたりと3人の関係は徐々に昔に戻りつつありました。
しかし、瑛介の抱えている問題は2人が思っていたよりもはるかに重いもので…。

作品情報

監督は阪本順二さんです。
『大鹿村騒動記』(2011年)や吉永小百合さん主演の『北のカナリアたち』(2012年)などを手がけた監督です。
個人的には、監督デビュー作である赤井英和さん主演の『どついたるねん』(1989年)が印象に残っています。

主演の紘を演じたのは稲垣吾郎さんです。
2010年に公開された『十三人の刺客』での狂気を含んだ演技で毎日映画コンクール男優助演賞を受賞しています。

瑛介を演じたのは長谷川博己さん。
影がある男を演じる彼の色気は半端ないですね。

光彦を演じたのは渋川清彦さんです。
ちょっと見は怖いけれど笑顔になると人の好さが感じられますね。
最近色々な映画でよくお見掛けします。

男の友情って素敵

さて、本作で主演を務めた稲垣さんは三重県の山間地にある片田舎の炭焼き職人を演じています。
炭焼きの工程も実際に行ったようですよ。
焼きあがった備長炭が触れ合うとガラスのような繊細な音を立てるんですね。
その音が耳に残るほど美しい。
髭を貯え泥臭く、古めかしい考えを持つ昭和っぽいおやじ。都会的なゴローちゃんは封印されています。普通のそこらへんに居そうなお父さんでした。
息子に対してダメダメな感じ、本当にイラっとさせられました。
そして、男同士が築いた友情って瞬時に子供時代に戻れるんですね。なんだか羨ましい。
他者から見れば退屈で平凡な日常でも、そこにいる人にとってはそれがその人の世界なんですね。かけがえのない世界なのです。
人生の折り返しを迎えた3人の半世界。味わい深い作品です。

【半世界】
監督:阪本順治
脚本:阪本順治
出演者:稲垣吾郎
長谷川博己
池脇千鶴
渋川清彦
竹内都子
杉田雷麟
菅原あき
牧口元美
信太昌之
堀部圭亮
小野武彦
石橋蓮司
製作年:2019年
製作国:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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