中身は相当ハードボイルド!!読み始めるとテンポの良さと作りこまれたキャラクター描写に引き込まれて、あっという間に読了してしまう漫画「BANANA FISH」吉田秋生著
第92回アカデミー賞の授賞式が2月9日(現地時間)、米ハリウッドのドルビー・シアターで行われました。
「パラサイト~半地下の家族~」快挙でしたね。
素晴らしい。
日本映画もそのうち受賞する日がくるかもしれませんね。
期待です。
そして主演男優賞は「ジョーカー」のホアキン・フェニックス氏でした。
私はTVで視聴していたのですが、」スピーチの最後、お兄さんの故リバー・フェニックス氏の詩の一篇を引用したときは涙が止まりませんでした。
ホアキンおめでとう。
本当に良かった。
私、リバーが大好きだったんですよ。
彼の作品は全作、何度も何度も繰り返し見ていました。
亡くなった時は信じられなかったな。
もっとスクリーンで彼を観たかった。
どんなに汚れた役を演じていても内側から溢れ出てくる美しさと儚さは、彼だけが持つ独特の色気と相まって、この世に本当に存在しているのかと疑ってしまうほどでした。
本当にいなくなってしまいましたけど。
ホアキンとリバーは全くと言っていいほど似ていないのだけど、ジョーカーのメイクを施した彼の静かな笑みを湛えた哀愁漂う表情は少し似ていたかな?
さて、今回ご紹介する作品は、「BANANA FISH」です。
主人公のアッシュ・リンクスはリバー・フェニックスがモデルと言われています。
では、あらすじを簡単に。
~物語は1973年のベトナム、1人のアメリカ兵士が錯乱状態に陥り、突如銃を乱射するところから始まります。彼がうわ言のように発したのは「バナナフィッシュ」という謎の言葉。時を経て1985年ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年アッシュ・リンクスは、17歳にしてストリート・ギャングをまとめ上げています。ある夜、アッシュは自身の手下によって銃撃された男からある住所とともに「バナナフィッシュ」という言葉を伝えられる。
それは廃人同然の兄・グリフィンがしばしば口にする言葉でもありました。
時を同じくして、カメラマンのアシスタントとしてやってきた日本人の少年・奥村英二と出会います。英二とともにバナナフィッシュの謎を追うアッシュですが、やがて2人は国家的な陰謀に巻き込まれていくことに~。
作者の吉田秋生さんは武蔵野美術大学卒業の女性漫画家です。
この作品も言うまでもなく代表作なのですが、ほかには「海街Diary」、「吉祥天女」「YASHA~夜叉」などがありますね。
これらはTVドラマ化や映画化されています。
「BANANA FISH」は2018年に吉田秋生の40周年記念プロジェクトの一環としてフジテレビのノイタミナ枠でアニメ化されています。
この作品の見どころはなんといっても主人公の「アッシュ」です。
「魔王」や「悪魔」、さらに「神の器」などと称され、人々を魅了するアッシュ。
(私も魅了されました)
外見の美しさだけではなく、IQはなんと200!!
そして、優れた身体能力を持っています。
もうまさしく奇跡の存在。
それだけに彼を憎悪するものや支配しようと目論む男たちは少なくないんですね。
男たちです。
特にコルシカ・マフィアのボス ゴルツィネは、アッシュを自分のものにしようとする執念が凄まじい!
このおっさんのアッシュに対する執念がさまざまな陰謀の根底にあるといっても過言ではない。
でも、大きな組織や国まで巻き込んだ騒動の中心にいるとはいるとは言え、アッシュもまだ17歳の少年です。
彼が唯一少年らしさを取り戻し、素の自分を出せる存在が日本人の英二です。
優しくて穏やかなのですが、芯が強いんです、英二君。
なので、英二はアッシュの「唯一の弱点」として対立する組織に狙われたりもします。
女性も出てくるのですが、数少ない中、英二は救出されたり守られたりする描写が多いので「ヒロイン」枠なのだと思います。
英二になりたいと本気で思った女性、多いと思います。
私もそうです。
少女漫画誌に連載されていた作品ですが、中身は相当ハードボイルドです。
全19巻と少々長めですが、読み始めるとテンポの良さと作りこまれたキャラクター描写に引き込まれて、あっという間に読了してしまうでしょう。
ハリウッドの大作映画を鑑賞したような読後感です。
リバー主演で実写が見たかったな。
BANANA FISH
著者:吉田秋生
出版社:小学館
発行:1986年12月15日第1巻発売
※画像はAmazonより引用させていただきました