女王蜂「BL」令和の時代に愛されし異端児は追い風に乗りさらなる高みと深淵へ
向井理主演のサスペンスドラマ「10の秘密」の主題歌として楽曲「BL」を提供した女王蜂。
前作のアルバム「十」から僅か8か月という異例のハイペースで、2020年2月に7thアルバム「BL」をリリースしました。
ボーカル・アヴちゃんの独創性の高いダークな世界観や安定感のあるバンドサウンドを武器に、現在徐々に人気の高まりつつある彼女達。
今作の「BL」は全曲完全新曲を収録となっており、楽曲のテイストも世界的なトレンドジャンルとなっているトラップやラップ、ロックにバラード、そして和風曲など非常に多彩なものとなっているのが大きな特徴です。
さらに今回アルバムリリースに際して、初の三形態制を導入。完全生産限定盤となる二形態のビジュアルブック仕様はそれぞれ異なる内容となっており、その総数もなんと88ページという大ボリューム。
また三形態全て収録曲の曲順が違っているという、なんともファン泣かせな力の入ったリリースとなっています。
思えば、これまで女王蜂というバンドは日本の音楽業界の中でもかなり異端な存在として君臨し続けていました。
初期のサイケデリックな出で立ちや激情迸るパフォーマンスのイメージから、ビジュアル系バンドや変態性の高い音楽であるという誤解も受けたりと、なにかと敬遠されがちなバンドであったようにも思います。
しかし、最近の彼女達は一言で表すならば「時代が彼女達に追いついてきた」とでも言いましょうか。
前々作の「Q」、そして前作の「十」にかけて様々なタイアップを獲得し着実に熱狂的なファンを増やし続けている彼女たちの様は、まさしく時代の追い風を受けているようにも見えるのです。
その際たるキーポイントは、何よりトレンドを反映した音楽性とバンドメンバーの神秘性、特に後者の要素の中でもフロントマン・アヴちゃんの存在感がバンドを何者でもない「女王蜂」として確立させることに大きく寄与しているのではないかと感じます。
女王蜂というバンドは検索で大概のことが明らかになるこの現代のネット社会においても本名、性別、年齢、国籍などのパーソナルな情報を一切非公開としており、その中でも特にボーカルのアヴちゃんに関しては、中性的な見た目や仕草から多くの憶測が飛び交っています。
人間誰しもシークレットの多い存在に惹かれてしまうもの。
また、彼女たちはそれによってエンターテイメント性の高いアイコンを作り上げることにも成功しており、それこそが今この時代に一種のカリスマとして多くの人々を魅了させる要素の1つでもあるのではないかと思います。
令和の時代になり日本のカルチャーはますます多様化し、それと共に1つ1つの個性がより深化したものになりつつあります。
彼女たちも例外ではなく、まさしくオンリーワンなカリスマ性・アイコン性を生かしつつもアニメ・イラスト等のジャパンカルチャーを上手く取り入れながら、時代の波に乗り世界へと発信しています。
まさにこれからの時代を体現している女王蜂というバンドに、彼女たちが放つ渾身の作品「BL」に、ぜひ一度触れてみて頂ければと思います。
BL
アーティスト:女王蜂
レーベル:SMAR
発売日:2020年2月19日
※画像はAmazonから引用させていただきました