映画「生きてるだけで、愛。」関根光才監督2018年11月日本公開

息子は私に叱られているとき、たまに寝てしまうことがあります。
ふざけているのかと思い更に怒りが湧くのですが、防衛本能なのかもしれないと気付いてからは好きなように寝かせています。
調べてみると、強いストレスに晒されると眠気が襲ってくる人がいるそうですね。
私は彼にストレスを与えるような叱り方をしてしまっていたようです。
ちょっと反省しました。

でも、思い返してみると私も同じで、嫌なことがあるとよく眠るんですよ。
仕事で嫌なことがあったりすると頭が考えることを拒否しているのでしょうか?
充分寝たのに足りなく感じるんですよ。
そしてまた眠る。
嫌だ、遺伝かも?

さて、今回ご紹介する映画は「生きてるだけで、愛。」です。
ではあらすじを簡単に。

~寧子と津奈木は同棲して3年。元々メンタルに問題を抱えていた寧子は鬱に陥り、過眠も加わってバイトも続きません。そして、家に引きこもっています。自分の感情を上手くコントロールできない事にうんざりしている寧子は、津奈木に当たり散らします。しかし、それになんの反応も示さず、「うん、そう、ごめん」というばかりの津奈木にも不満が募るばかり。一方、津奈木は文学に携わる仕事に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事の執筆に明け暮れる毎日です。仕事はただ淡々とこなすものになり果てています。そんなある日、寧子の元に突然、津奈木の元恋人・安堂(仲 里依紗)が現れます。津奈木とヨリを戻したい安堂は、寧子を自立させるため無理矢理カフェバーのアルバイトを決めてしまうのです。

監督は関根光才さん。
彼は、様々なCM作品やミュージックビデオ(AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」等)を手がけてきた映像作家で、長編映画初監督作品だそうです。

原作は本谷有希子さん。
劇作家で小説家でもあります。
この作品は2006年の芥川賞候補になっています。
そして2016年「異類婚姻譚」で第154回芥川賞を受賞しています。

主演の趣里さんは水谷豊さん、伊藤蘭さんのお嬢さんです。
バレリーナを目指していたというだけあり、ダンスシーンはしなやかで美しい!
今作では躁鬱を繰り返し、感情のコントロールがうまくいかない寧子を、リアルに体当たりで演じています。
うーん、演じているというよりも、本当にそこに寧子が「居る」という感じ。
彼女はこの時、全身全霊をかけて、寧子で在ったのだと思うのです。
そして、この作品で2018年日本アカデミー賞の新人賞を受賞しています。
うん、納得。

同棲相手の津奈木を演じるのは菅田将暉さん。
2009年、「仮面ライダーW」で最年少の16歳で主演を務めました。
最近のような気がしていたのですが、もう11年経つんですね。
女の子のようないで立ちで可愛かったな。
今はミュージシャンとしてもご活躍されていますね。
表現力が高いのが音楽にも反映されていてとても魅了されます。
「注目の若手俳優」枠からいとも簡単に飛び出した、引き出しの多い役者さんだなと思います。
この作品では実年齢よりも高い役を演じているので(30代くらいだったと思います)抑えた演技で、会社でも家でも疲れ果てている津奈木を見事に演じ切っています。

メンタル的な問題を抱えた女性が主役というと、とても重いテーマに感じられると思いますが、自分と同じ熱量でぶつかってくれない相手に憤ったり、彼氏のためにと思って始めたことが無駄になってしまい、自分の不甲斐無さに泣き叫ぶ寧子の姿は、病んでいるといったフィルターを外せば、私たちにも思い当たる節があるのではないかな?と感じました。

イライラしたり、時に共感して泣いてしまったり、色々な感情が揺さぶられる作品です。

※画像はAmazonより引用させていただきました

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