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様々な事象において最も罪なことは、そもそも無知であることなのではと考えさせられる映画「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督 ソン・ガンホ主演

2019年度のカンヌ映画祭での韓国映画初パルムドール受賞に始まり、非英語作品としては初のアカデミー賞作品賞を受賞、さらに同年のアカデミー賞では最多4部門受賞と怒涛の快進撃となった「パラサイト 半地下の家族」。
瞬く間に日本中でも話題になった作品ですが、そんなにすごいのなら一度見てみたいと思い早速行って参りました。

余談ですが、2020年2月時点で私の地元愛媛県松山市は悲しいことに上映館はたった一か所のみ。
(そもそも映画館自体片手で足りるほどしかない街なのですが。)
しかもその映画館は160席のシアター1つしかない、街で一番小さな映画好きの為のミニシアターです。
当たり前のように1日2回の上映は毎回満員御礼、開演直前には長蛇の列ができる盛況っぷりだそう。
松山の映画関係者さん、もうちょっとなんとかならなかったんでしょうか…。

さて肝心の映画の内容ですが、想像していた以上の展開とテンポの良さで最初から最後まで飽きることなく楽しめました。
韓国映画って大体あんな感じなんでしょうかね?
展開の速さに驚かされたものの終わってみれば132分という長さがあっという間でしたので、その分かなり濃度の高い作品になっているということですね。
作品のテーマとなっている貧富の差についても、ブラックコメディというジャンルもあって全体的に重すぎることはなかったです。
シーンによっては場内に笑いが起きたり溜め息が漏れたりと、思わず観客が声を出してしまうような雰囲気で上映されていました。
予備知識ゼロで行った私としては、その中でも後半の展開はかなりサスペンス調だったように感じました。

世界的に見ても、経済状況は益々個々人の差が広がり続けています。
だからこそ、それらを主題として人々にメッセージを投げ掛けた前回のパルムドールを受賞した「万引き家族」や、今回の「パラサイト」が評価されていると言われています。
その主題の中でも、今回大きな評価を受けているこの「パラサイト」が内包している“自分たちより下の存在を知らないことの恐ろしさ”に、私は大きなショックを受けたのです。
主人公となる家族は、自分たちが最も下層の暮らしをする人間だと思っていたことでしょう。
雇用主の家族の父親は、雇っている家族の持つ独特の匂いを表現する的確な言葉を知りませんでした。
これは各家庭の経済層がそれほどまでに分断されている、ということを示す大きなポイントなのではないかと思います。

多くの状況でこれまでも数多の人々が述べているように、様々な事象において最も罪なことは、そもそも無知であることなのでしょう。
私たちのような平凡な人間1人の力では、世界の経済事情を豊かにしたり各国の紛争を止めるといった大それたことは実現不可能です。
しかしまずは自分の知らない世界で、私たちの与り知らぬところでいったい何が起きているのか。
日々情報感度を高く持ちながら知識や情報を得ようとする姿勢だけは、これからの時代を生きてゆく上で失ってはいけませんし、資本主義の富の再分配方法について考え直す時期にきているのかもしれません。

※画像は公式サイトから引用させていただきました

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