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幸せなひとりぼっち

スウェーデンで5人に1人が観た優しさと愛が詰まった映画「幸せなひとりぼっち」

妖しいオジサン

先日、コンビニに行った時のお話。

19時くらいかな?
駐車場に車を止めてふと店の入り口を見ると、若い女性が慌てた感じで店から出てきました。
「?」
不思議に思いながら店の中に入ると、何やら妖しい空気を醸し出しているオジサンと目が合いました。
顔が異様に赤かったのでお酒でも飲んでいたのでしょう。
オジサンは妙にニコニコしながらどんどん私の居る方向へ近寄ってきました。

(あ、これ、ちょっとやばいかも…)

その場から急いで去ろうとしたとき、目の前に来たオジサンが手に持っていたものを私に向けてきました。

オジサンがもっていたのは本でした。
漫画の単行本だったと思います。
そしてオジサンは

「ニタァ」

と笑いました。
前歯が何本か無かった。
てことは、マスクしてないし。
ダメじゃんオジサン。

私はオジサンを一瞥し目的の物をかごに入れ一目散にレジへ。

「すいません、何かされましたか?」
とレジのお兄さん
「マスクしてないのに近寄られてもね」
「えっ!」
「このご時世ねぇ」
「あの、えっと、チャック開いてませんでした?」
とお兄さん。
「ん?」
お兄さんによると、オジサン、どうやらチャック全開だったようです。

「え?やだ、そっち?」

たぶん、さっき出て行った女の子にも同じことしたんでしょうね。
ご近所の少しボケてるオジサンのようです。

反応を楽しむため?
そういえば、私が無表情でいたら少し悲しそうな顔をしていました。

存分に悲しめ。
セクハラじゃん。

さて、今回ご紹介する映画は「幸せなひとりぼっち」です。
チャックは開いていませんよ、真面目なオジサンです。

では、あらすじを簡単に

愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ59歳。
かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られています。
年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか厄介なおじさんと化していました。
オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたのですが、ある日、突如リストラを宣告されてしまいます。
家に帰っても、思い出すのは亡き妻の面影。
孤独に耐え切れなくなり、彼は天井にロープをかけ、自殺を図ろうとします。
しかし、隣に引っ越してきたパトリック一家の騒がしさに阻まれ、死ぬことはできませんでした。
その後もパトリックの妻でありペルシャ人のパルヴァネに、車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守などを頼まれます。
迷惑な彼らを罵るオーヴェですが、パルヴァネはまったく動じません。
しかし、その存在はいつしか頑なな彼の心を徐々に解かしていき……。

作品情報

監督・脚本はスウェーデンのハンネス・ホルムです。
「幸せなひとりぼっち」は本国スウェーデンでは160万人を越える動員を記録しました。
スウェーデン国民の約5人に1人が見たといわれ、社会現象となった作品です。
第89回アカデミー賞では外国語映画賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされています。

主演のロルフ・ラッスゴードは、スウェーデンでは数多くの賞を受賞しているベテラン俳優です。

変わらなくても…

オーヴェは偏屈で近所にいたらお近づきにはなりたくない人物です。

しかし、もともとはとても優しい心根の人なのでしょう。
文句を言いながらも頼まれたことはするし、思ったことをすぐに口に出すのですが、傷つけるようなことは言いません。
そしてお人好し。
なんだか見ているうちに可愛く思えてきます。

死ぬことが下手で、失敗し続けるオーヴェですが、その時に走馬灯のように垣間見る、失ってばかりの彼の人生に思わず涙してしまいました。

年を取ると自分を変えることは中々難しいです。
しかし、嫌々ながらも頼みごとを聞くオーヴェを観ていると、他人を受け入れることは難しいことではないのかなと思います。
それがきっかけで今まで見えていなかったものも見えるとなれば、視野も広がるのでしょう。
そしてそれは人との繋がりで見えてくるもの。
オーヴェの人生において以前は妻でした。
そして今はパトリック一家やご近所さん、そして猫ちゃんだったのです。

スウェーデン発の、あたたかく優しい気持ちになれる作品です。

【幸せなひとりぼっち】
監督:ハンネス・ホルム
脚本:ハンネス・ホルム
原作:フレドリック・バックマン
出演者:ロルフ・ラッスゴード
バハール・パルス
イーダ・エングヴォル
フィリップ・バーグ

※画像はAmazonより引用させていただきました

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