夏にまといたい香水

春も深くなり、夏の足音が聞こえてきました。

冬の間の空気は透き通っていて、“無臭”に近いものだったと思います。
ところが夏になると空気は重く、どっしりと、まとわりつくようなムードに変わりますよね。



私が暮らすフランスも同じで、最近の空気は少し“甘くて重い”感じがします。
実はこの空気密度の高い季節に似合う香水もあるんですよ。

大のフレグランス・ラバーの私は、衣替えをするように身にまとう香水を変えています。
夏も香水を楽しみたいけど、周りに迷惑なんじゃないか、嫌がられるんじゃないか、なんて心配もあるかと思います。

ですが香水の種類やまとい方を工夫することで、高温多湿な夏を心地よいものに変えることが可能なんです。

逆に、夏に香水を着けこなしてこそ「大人のいい女」と言えるかもしれませんね。

今回は、2021年の新作香水からニッチフレグランスの名香まで、夏にまといたいラグジュアリーフレグランスを3つご紹介したいと思います!

夏に映える香り

夏にどんな香りが似合うの?という問いに、私なりに出した結論があります。

ズバリ「夏に無性に食べたくなるフルーツの香り」です。
スカッと清涼感のあるシトラス系や、ジューシーなトロピカル系のフルーツ。

夏の暑い季節に本能的に欲する香りです。
そして似合わないのは、甘いグルマンノートやムスク系などの動物系フェロモンの香り。

柔らかくて、ライトで、子供から大人までみんなが「好き!」というような香りが良いと思います。

それではパリでも人気の、“夏にまといたい”香りを見ていきましょう。

ハイブランドもニッチも!夏こそ良いものを

「H24」オードトワレ/『HERMÈS(エルメス)』


2021年3月1日に『HERMÈS(エルメス)』から15年ぶりのメンズ香水、「H24」が新発売となりました。

この名前の「H」はHERMÈS(エルメス)、HOUR(時間)、HOMME(男性)、それぞれの言葉の頭文字を意味しているそう。

さらに「24」は24時間という時の流れ、そして『HERMÈS(エルメス)』が第1号店を構えるパリのサントノーレ店の住所、24番地を意味しているそうです。

実は「H24」、今までのメンズフレグランスの定番だったウッディ・レザー・タバコといった香料を使用していない、柑橘系とハーブに重きを置いた香りなんです。

ハーバルで、キリッとした鋭い香りのバランスがとても素敵。
メンズ香水であっても、骨太で20世紀的な男くささではなく、ニュートラルでソフトな男性像を描いた「H24」は、時代にフィットする理想的なオードトワレだと思います。

男性はもちろん、女性も躊躇なくまとえるでしょう。
“カッコイイ香水が欲しいけど、奇抜な匂いは求めていない”という方に本当におすすめです。

女性がまとえば「そこはかとない趣味の良さ」を演出してくれるはず!
拡散性の低いオードトワレですし、爽やかでアロマのような「H24」は夏にぴったり。

「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」オードパルファム/『TOM FORD(トム・フォード)』


“官能ピーチ”という言葉がぴったりな『TOM FORD(トム・フォード)』の「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」。

ピーチの香りと聞くと甘くて可愛らしい香りを想像しますが、こちらはジューシーな白桃ではなく、海外のキリっとしたネクタリン香のイメージです。

「力強くて、タフでセクシーであるべき」と謳う『TOM FORD(トム・フォード)』美学が詰まった1本。
セクシーなフレグランスが多いなかでも、「BITTER PEACH(ビター・ピーチ)」は頭一つ抜けていると思います!

といっても、これは決してくどい香りではありません。
淡麗な果実の香りがとっても心地よくて、『TOM FORD(トム・フォード)』らしい気品が感じられます。

私が感動したのは、動物系の香料(ムスクやアンバー)を一切使用していないのにここまで奥深い官能性を表現しているという点です。

本当に「肌にかぶりつきたくなる」ようなモテ香水です。
ハイブランドらしい品格もあるので、おしゃれして出かける日にぴったりですね。

デートに、リゾートに。夏の思い出作りに連れていきたい香りです。

「LA CHASSE AUX PAPILLONS(ラ・シャッス・オー・パピヨン)」オードトワレ/『L’Artisan Parfumeur(ラルチザン・パフューマー)』


世界で初めてのニッチ・フレグランスブランド『L’Artisan Parfumeur(ラルチザン・パフューマー)』。

『L’Artisan Parfumeur(ラルチザン・パフューマー)』の特徴は、おなじみの香料を使っているのにとんでもなく変わった香りを生み出したり、聞いたこともない香料を用いているのに芸術的に美しい香りを生み出すところにあります。

この「LA CHASSE AUX PAPILLONS(ラ・シャッス・オー・パピヨン)」は、「蝶々をつかまえて」という意味です。

初見は「?」となるのですが、一嗅ぎでその情景が目に浮かんでくるはず。
お花畑で蝶々を眺めているような、柔らかく牧歌的で、生花の躍動感を感じられる素敵なフルーティ・フローラルノート。

ふんわりタッチで着け心地も良く、夏の蒸し暑さが吹っ飛びそうな、ちょっとサンクチュアリな香りです。

これならオフィスでも使えそう!
もちろんプライベートタイムもOKな香りで、半袖のワンピースやデニムにも合いそうです。

世の中にあふれかえっている「フローラルの香り」と、それに窮屈さを感じている人に。

夏の彩をもぎ取ったかのような「LA CHASSE AUX PAPILLONS(ラ・シャッス・オー・パピヨン)」は『L’Artisan Parfumeur(ラルチザン・パフューマー)』の職人技が光る、芸術的な1本です。

匂いに敏感になる夏だからこそ

いかがでしたでしょうか?
香りってその人の印象を左右する重要なファクターですよね。

匂いに敏感になる夏だからこそ、“良い香り”を演出する大人の女性になりたいものです。
洋服も香水も衣替えして、2021年の夏を一緒に楽しみましょう。

今回の記事が皆さまの香り選びの一助となれば嬉しいです!

関連記事一覧