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駆け出し男と駆け込み女

駆け出しの男が女たちのためにひと肌脱ぐ?映画「駆け出し男と駆け込み女」

よくケーキを買っていた商店街にある洋菓子店が、ある日突然閉店していました。

近くにある雑貨屋の友人に事情を聞くと、どうやら店主は アル中だったようで 奥さんに暴力を振るい逃げられたそうです。

そして、なおも酒に溺れ近所にまで迷惑をかけ始めた本人は、親戚の計らいでどこかの施設に送られたそうです 。

そんなことがあったとは知らずに、ただケーキが食べられないということに残念な気持ちを持っていた私。
よそにはない繊細な味のケーキを作り、お店では奥さんとにこやかに接客していた彼の姿しか知らないので仕方ないですね。

暴力を振るわれた奥さんは、雑貨屋の友人の元にその都度、駆け込み、彼女は奥さんを3階の倉庫に隠していたようです。
年に1.2度だったのが駆け込む回数は段々と短い期間で増えていき、1週間ほど匿った事もあったようです。
そして奥さんが旦那から逃げる手助けもしたようです。
どんな事情があるにしろ暴力はよくない。
奥さんの心と体に傷をつけたことはよくないことです。

そして、どんなにおいしいケーキを食べても、あのケーキの味と幸せそうな夫婦だったころの姿が浮かんできて悲しくなってしまう私の気持ち…。

ケーキをおいしく食べられた時の私に戻りたい。

さて、今回ご紹介する映画は「駆け込み女と駆け込み男」です。



では、あらすじを簡単に

時は江戸時代。夫から暴力を受けても、何か他の問題があっても、女性からは離縁が出来ず、耐え忍ぶしかなかった時代。
女性にとって最後の砦となったのが幕府公認の縁切寺である東慶寺でした。
東慶寺に駆け込む女性は、様々な境遇や事情を持ち、追手に追われている場合もありました。
しかし、追手に捕らえられる前に、寺の門の中に自分の身に着けている物を投げ込むことで駆け込みが成就します。
そして、そこでの2年の修業ののち、晴れて縁を切ることが叶います。
さて、物語の舞台は東慶寺ではなく、そのお寺の前で、お寺の仲介役をしている「御用宿」です。
東慶寺に来てもすぐに入れるわけではなく、まずは御用宿にて事情聴取を行います。
信次郎は駆け出しの戯作者であり、医者見習いでもあります。
彼は質素倹約を強い人々からどんどん娯楽を奪う江戸に居づらくなり(お役人に文句を言ったため)親戚である御用宿「柏屋」に厄介になっていました。
いつか曲亭馬琴のような戯作を書きたいと思っている信次郎にとっては、柏屋は資料の宝庫で、人間を知る絶好の機会だったのです。
信次郎が御用宿に着いたその日、顔にやけどを負ったじょごと質屋の妾のお吟も東慶寺に現れました。
はてさて、彼女たちは無事に夫と離縁することが出来るのでしょうか?

作品情報

監督は原田眞人さん。映画監督、脚本映画評論家としてもご活躍されています。
最近の作品では嵐の二宮和也さんと木村拓哉さんのW主演作「検察側の罪人」があります。

主演の新次郎を演ずるのは大泉洋さん。
彼が出演する作品はなんか観ちゃうんですよね。
「絶対に面白いやつ」
と期待を持って。

求めるのは自由

女性からの離縁が途轍もなく困難な江戸時代。
離縁を望む女性たちと、身勝手すぎる男たち、彼女たちを支援する人々の騒動を描く人情味あふれる時代劇です。

日本の男尊女卑が現在でも根深く残るのは、このような歴史に裏打ちされているのでしょうね。
じょごに暴力を振るう夫役の武田真治さんがサイコパスぽくてとても怖かった…。

大泉さんは安定の大泉さんです。
彼のテンポの良すぎるセリフ回しは江戸っ子口調でも健在です。
良くあんなに舌が回るなと活舌の悪い私はうらやましい。

そして、質屋のお妾さんの満島ひかりさんがまた、とんでもなく妖艶!
彼女の江戸言葉も色気を増していました。

大きな劇的なストーリー展開はないけれど、自由を求め日々修業を行う女性の逞しさが印象に残りました。

【駆け出し男と駆け込み女】
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
原案:井上ひさし『東慶寺花だより』
出演者:大泉洋
戸田恵梨香
満島ひかり
陽月華
キムラ緑子
武田真治
橋本じゅん
中村嘉葎雄
樹木希林
堤真一
山崎努
製作年:2015年
製作国:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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