diner ダイナー 蜷川実花

一瞬たりとも目が離せないし何度でも観たい映画「Diner/ダイナー」

息子が小学5,6年生だったかな?
前年まではディズニーやUSJといったテーマパークに妹夫婦のどちらかと遊びに行っていたのですが、その年は2組とも休みが取れず、仕方なく親子で東京に遊びに行きました。

浅草に泊まり、翌日は確か池袋か秋葉原に行ったと思います。

あの頃はまだ私よりも小さく、人が多い都会で迷子になることが怖かったのか息子は私の手を必死につかんでいました。
地元では手はもう繋がなかったのでちょっと嬉しかったのを覚えています。

しかし、ふと気づくと息子の手は離れており、焦って周囲を見渡すと、10メートルぐらい後方に息子の姿が。
迷子になってもすぐ見つかるようにと妹が買ってくれた緑の鮮やかなコートが役に立ちました。

「もう、何やってんの」

少々怒りながら息子の下に向かうとなんだかニコニコしています。
少しずつ近寄っていくと、何やら誰かと話をしている様子。

息子の目線に合わせて少しかがんで話している相手をうかがうと、なんとメイドさんでした。しかも3人いた。

「!!!」

「あ、お母さんですか?」
「はい、お母さんです」
「可愛いですね、息子さん。ちゃんと立ち止まってチラシとティッシュ貰ってくれましたよ」
「すいません、お世話になってしまって」
「いいえ、僕、もっと大きくなったらお姉さんたちのお店に来てね」
ニコニコして
「うん」
と答える息子。

いま、息子の部屋にはメイドの衣装を身に着けたアニメキャラのポスターがデカデカと貼ってあります。
あの時のメイドさんのおかげで立派なアニオタに成長しました。

さて、今回ご紹介する映画は蜷川実花監督・藤原竜也主演の『Diner ダイナー』です。玉城ティナさんのメイド姿は神レベル!



では、あらすじを簡単に

一人ぼっちで寂しい日々を送る平凡な女・オオバカナコ。
死者の日を祝う一団を偶然見かけたことから、いつかメキシコに行きたいと願うようになりますが、渡航費用が30万円と知り愕然とします。
そして、ある日、インターネットで見つけた渡航費用と同じ日給30万円の怪しいアルバイトに軽い気持ちで手を出してしまいます…。
完全にブラックなバイトのせいで一瞬にして平凡な日常が奪われ、命を脅かされた彼女はあろうことか、殺し屋専用のダイナーへウェイトレスとして売られてしまいます。
店主を名乗る男は、元殺し屋で天才シェフのボンベロ。
「俺は、ここの王だ。砂糖の一粒まで俺に従う。」
しかし、ささいなミスを犯したカナコを殺そうとするボンベロ。
彼女は逃げ込んだ食糧庫の金庫に大切に保管されていた美しい装飾を施された瓶、1億円以上の価値がある“ディーヴァ・ウォッカ“を隠し、ボンベロに交渉を持ちかけます。
動揺するボンベロは渋々彼女をウェイトレスとして雇うことに…。

作品情報

監督は蜷川実花さんです。
写真家であり映画監督としても活躍されているのはご存知の通りです。
調べていて驚いたのが誕生日が私と同じでした。10月18日生まれのてんびん座。
今月、誕生日を迎えられますね。おめでとうございます。
勝手に親近感を覚えています(笑)
さて、本作は『さくらん』(2007年)『ヘルタースケルター』(2012年)に次ぐ監督作としての3作目の作品となります。
極彩色で彩られた世界観はカラフルで美麗で印象に残ります。

主演を務めたのは藤原竜也さんです。
蜷川実花監督のお父様の蜷川幸雄さん演出の舞台『身毒丸』でデビューしています。繋がりを感じますね。
長髪を後ろで束ねたスタイルが新鮮でドキッとしてしまった。無表情で冷たい感じ、よきです。

オオバカナコを演じたのは玉城ティナさんです。
出演した『惡の華』『地獄少女』(2019年)はどれも漫画原作ですが存在感に圧倒されました。

圧巻の芸術性。

今までの蜷川監督作よりは抑えた色彩でしたが、細部まで作りこまれた舞台は映画のセットとは思えないほど芸術的で素晴らしい。
食堂の装飾美術を横尾忠則さん、物語のキーとなるウォッカボトルの制作を名和晃平さん、フードクリエイションを諏訪綾子さん、フラワーデコレーションを東信さんと、世界的に活躍しているクリエイターが手掛けています。

そして絶妙な配役。
蜷川監督は役者さんの持つ一番の魅力を最大限に引き出す監督さんだなと改めて思いました。
主役の2名を始め窪田正孝さん、真矢みきさん、武田真治さん、土屋アンナさん本郷奏多さん、一人一人が魅力的でどのキャラクターも外れがありません。

中でも、真矢みきさんの演じた無礼図(ブレイズ)。彼女の久々の男装姿、そしてその姿のままのアクション、もう、惚れた。

平山夢明さんの原作小説「ダイナー」は凄惨で残虐な暴力描写、荒唐無稽な殺し屋たち、無国籍な雰囲気で映像化は難しいと言われていましたが、蜷川監督の独特の世界観で極上のエンターテイメントに仕上がっています。
圧巻の映像美に豪華なキャスト、ストーリーは思ったよりわかりやすくてシンプル。
何度も見返したくなる作品です。

【Diner/ダイナー】
監督:蜷川実花
脚本:後藤ひろひと
杉山嘉一
蜷川実花
原作:平山夢明『ダイナー』
出演者:藤原竜也
玉城ティナ
窪田正孝
本郷奏多
武田真治
斎藤工
佐藤江梨子
金子ノブアキ
小栗旬
土屋アンナ
真矢ミキ
奥田瑛二
製作年:2019年
製作国:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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