Vaundy「strobo」輝く星となれ!待望の初アルバムリポート



世界を取り巻くコロナ渦の中で、現在エンタメ業界全体が存続の危機に陥っています。
しかし、それでも躍動を止めない才能あるアーティストの姿を見ていると、CINRA.NETの掲げる「カルチャーはとまらないとめられない」というフレーズはあながち間違いではないのだと、つくづく思わされる今日この頃です。

そんな才能あふれるアーティストの1人として、今回ご紹介するのはVaundy。
音楽配信サイトSpotifyの発表した2020年のネクストブレイクミュージシャンに、耳の早い音楽ファンにはお馴染みの藤井風やNobvelbrightなどと共に選出されたアーティストです。
現在まだ19歳の大学生。
文字通り新進気鋭のミュージシャンである彼が、満を持して2020年5月に発売したアルバム。
それがこの「strobo」です。

「すべての始まり」という意味を含めたこのタイトルを冠する「strobo」。
作品の魅力を一言で表すと、ずばり収録曲のクオリティの高さとテイストの多彩さが同居している部分でしょう。
彼の名前を一躍世に広めた「東京フラッシュ」は、メロウで気だるげな雰囲気を纏いながらもどこかリズミカルで、お洒落なシティポップ感が人気の1曲。
「life hack」も「東京フラッシュ」に近いムーディなギターのアルペジオから始まる、聴いていて心地良さに包まれるかのような1曲となっています。

しかし、アルバムでは上記の2曲に挟まれて収録されている「怪獣の花唄」は一転して、疾走感の溢れるバンドサウンドがリスナーをぐんぐん巻き込んでいくかのよう。
気づけば開放感のある高みへと誘ってくれるかのような、高揚感を引き出してくれる楽曲です。

ドラマ主題歌となった「灯火」や「Bye by me」もそれぞれ非常に個性的かつ、タイアップらしいポップな曲。
どちらの曲もカントリー調を思わせるようなギターフレーズが用いられているのも、より聴き馴染みのよい楽曲となっているポイントではないでしょうか。

そうかと思えば、「不可幸力」では少しダウナーなサウンドの中で靄の掛かったような感情をラップリリックで口ずさんだり、同じく跳ねるようなラップリリックを刻む「soramimi」は先ほどの「不可幸力」とはまた違った妖しさを携えながら、サビで一気にボルテージを上げていきます。

1枚のアルバムを通して聴かないと、この曲は本当に全てVaundyという同じアーティストが作ったものなのか疑わしくなるほどのセンスの幅の広さ。
しかしそれは決してとっ散らかっているわけではなく、うまく言葉にはできないような、どこか形容しがたい一本の芯のようなものを感じさせるのです。
1つ1つが突出した、非常に癖の強い楽曲たちをまとめる力。
多彩な曲を作る、という能力ももちろんですが、Vaundyを音楽的に評価するべき真のポイントは、実はどちらかと言えば楽曲をまとめる力の方なのかもしれません。

2019年6月のYouTubeでの投稿から音楽活動を始めた、本当にまだアーティストとして駆け出しの存在であるVaundy。
本来であれば2020年4月に初のワンマンライブを開催する予定でしたが、昨今の新型コロナウイルスの影響で2020年8月に延期となっています。
またその2か月後の10月には、セカンドワンマンも計画されているそう。

これまでとは全く同じ、とはいかなくとも、ぜひその頃にはワンマンライブが開催できるほどに新型コロナウイルスの終息、もしくは共存できる方法が見つかるよう願うばかりです。
彼の音楽を聴いたら、生で触れたくなってしまいますよね。

strobo
アーティスト:Vaundy
レーベル:株式会社SDR –Music-
発売日:2020年5月27日

※画像はAmazonより引用させていただきました

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