サカナクション

視覚で魅せる「音楽」を牽引するサカナクションのおすすめMV4選



新型コロナウイルスによる緊急事態宣言もようやく終息したものの、まだまだ油断は禁物。
第2波がきては元の木阿弥と、引き続きSTAY HOMEに取り組んでいる皆様も多いことかと思います。
退屈なおうち時間をまだまだ紛らわしたい。
そんな皆様の為に、本日は様々なアーティストの中でもひときわ「視覚の音楽」にこだわっていると言っても過言ではない、サカナクションの素敵なMVを5つご紹介させて頂きましょう。

忘れられないの


まず最初にご紹介するのは「忘れられないの」。
2010年代後半に、音楽のみならずファッションなどの様々なカルチャーに訪れた1980年代リバイバルブームを、彼らならではのテイストで表現した1曲です。

サカナクションが他のアーティストと一線を画しているのは、この楽曲を通しての80年代リバイバル表現の徹底っぷり。
楽曲のサウンドだけでなく、今回ご紹介するMVも当時の音楽番組を想起させるような演出となっています。
ボーカル山口一郎の着用している肩パッドの入ったスーツの造形に、懐かしさを覚えた方もきっと多いことでしょう。
またMV内で使用されている衣装や小道具にも、実際に80年代に使用されていたアイテムを多数用いているそうです。

さらには、この曲をアルバム「834.194」からわざわざ今では珍しい8センチシングルへリカットしたり、ある音楽番組へ出演し演奏した際も、テロップから80年代当時のテレビ番組を彷彿とさせるような演出を行ったり。
当時のカルチャーをサカナクションらしい、現代の洗練されたものへとアップデートすると同時に、カルチャーに対する根強いリスペクトを表現する。
楽曲を通しての手の込んだ演出からは、そのような彼らの強い気概を感じられるように思います。

モス


そして、「忘れられないの」と一緒に8センチシングルへとリカットされたのがこの「モス」です。
深田恭子が主演を務めるTVドラマの主題歌にも抜擢された曲の為、聞き覚えのある方も多いことでしょう。
このMVもまた非常に革新的なMVとして、公開当時はかなり大きな話題となりました。
どういった部分が革新的であったかは、実際にMVを見て頂くとすぐにお分かり頂けるかと思います。
いえ、1つ語弊がありましたね。
確かに他のMVと違うのがお分かり頂けるかと思うのですが、「すぐにはわからない」のが正しい認識でしょうか。
なぜならこのMV、画面に変化が出るのは映像も半分近く終わった辺りからなのですから。

曲のタイトルであるモス、蛾の繭をただただ映しているだけのこの映像。
シンプルな映像ではあるのですが、その分一度見始めると最後への展開が非常に気になるMVなのではないかと思います。
そして一番のポイントとなるMVのラストシーンでは、マイノリティーについて歌うこの曲だからこそパンチの利く登場人物の姿が。
「彼」の名前は井手上獏。
美しすぎる「美少年」として様々な番組やメディアに登場したこともある為、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
最後に登場する「彼」の正体を知った時、曲に込められたマイノリティーについてのメッセージが初めて完全なものとなる。
この映像は、もしかしたらそれを最終目的とされたMVなのかもしれません。

アルクアラウンド


彼らのMVを語る上では、やはりこの「アルクアラウンド」の話を欠かすことはできないでしょう。
このMVでは当時少しずつ台頭し始めていたCGやグラフィック技術を敢えて一切使用せず、とことんアナログな芸術的手法を用いて楽曲の歌詞を表現しています。

一見簡単に撮影されたようにも見えますが、一度たりとも失敗の許されない一発撮りという手法で、美術作品の位置、そしてカメラマンやバンドメンバーそれぞれの動きが非常に緻密に計算された上で成り立っているこの映像。
極限まで練り上げられたこのMVを制作するための努力と情熱が、この映像への高い評価に繋がったのではないかと思います。
技術が進歩し始めた時代の、技術の感動を越えるアナログへの挑戦。
この当時からサカナクションというアーティストの目の付け所が、他のアーティストと一線を画していたことがうかがえます。

また、個人的には、このMVのラストのシーンが何の違和感もなく冒頭のシーンと繋がっている、という点も強く惹かれるポイントでしょうか。
MVでは実際の音源には収録されていないイントロを、曲が終わった後に再度わざわざ流しています。
その演出からは終わる事のない、この曲の無限ループに飲み込まれたかのような感覚さえ感じることができます。
一発撮りの映像でこの手法を取り入れる為には、撮影ロケーションの選択に始まり導線のシミュレーションなど、ここにもまた非常に緻密な計画が必要です。
これらの計算され尽くされた手法からは、当時からサカナクションが完璧主義と呼ぶに相応しいほどのこだわりを持ち、また映像制作陣がそれに応えた結果を感じることができます。

ナイロンの糸


そしてこちらの「ナイロンの糸」も、先述のアルバム「834.194」に収録された1曲です。
ボーカルの山口一郎自身が出演していたCMの楽曲であるこの曲。
MVは一言で表すならば、その映像美の美しさに引き込まれるかのようなものとなっています。

「水と都市」をテーマとしたこのMVでは、テーマの通り「水」というものの美しさと、「人の身体」の美しさがとても丁寧にクローズアップされています。
顔が可愛い、スタイルが良いといった、整っている形の造形美ではなく、ナチュラルで素朴な人という生き物の身体の滑らかな造形やその上に落ちる陰影。
はたまたその映像にアクセントを加えるように映り込む、涼しげな色彩のネイルや光を受けて煌めく水面、肌に付着した水滴。
そのため息の出るような美しさを見ていると、続く自粛生活で萎れてしまった心が洗われるような、まるで美しい美術作品や絵画を見ているような気持ちにすらなってくるのではないでしょうか。

心地良い風が吹く日も増え、着実に夏の足音が近づいてくる今日この頃。
涼やかな水音が聞こえてくるかのような映像は、たとえ一時でもきっと私たちの心に穏やかな時間や癒しを与えてくれることでしょう。

緊急事態宣言という国の縛りはなくなったものの、未だに有効な対策や薬などが一切見つかっていない新型コロナウイルス。
生活は少しずつ元に戻りつつありますが、一方ではこれまでと全く違う新しい生活様式を提言されている部分もあります。
日々目まぐるしく変わる環境の中、これまでと同じように、もしかしたらこれまで以上に、音楽というカルチャーは私たちに大切なものを与えてくれるのかもしれない。
この自粛期間の中改めて視聴したサカナクションの楽曲、そして映像からは、ふとそんなことを感じたようにも思います。

※画像はビクターエンタテインメント公式サイトより引用させていただきました

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