漫画「鬼滅の刃」累計発行部数1億部間近!?大人気作品の人気の秘密とは?
約4年3ヵ月の連載で累計発行部数8000万部を超え、今や大人気漫画となっている「鬼滅の刃」。
先日週刊少年ジャンプで連載が完結し、それがワイドショーやネットニュースで大きく報道されました。
名前は聞いたことあるけど、読んだことはないんだよね。
そんな人もきっと多いのではないかと思います。
筆者も実はその内の1人だったのですが、ステイホームをきっかけにようやく重い腰を上げました。
まずは漫画をレンタルし全て読み切ったものの、あまりの面白さに結局その後わざわざ全巻手元に買い揃え、今や10月に出る最新刊を首を長くして待つ始末。
この間なんとたったの2ヵ月。
周囲も驚くほどのスピードで、まんまと鬼滅の刃にハマってしまったのです。
そんなわけで今回は改めて、連載終了してもなお多くの人を魅了し続ける鬼滅の刃の、その面白さについて語らせて頂ければと思います。
物語の舞台は大正時代。
家族を鬼に殺された主人公・竈門炭治郎が鬼にされた妹・禰豆子を救うべく、鬼の始祖を倒す為、鬼殺隊という組織の一員となる、というのが大まかな話のあらすじです。
この物語の魅力として語るべきポイントは、ふたつ。
ひとつ目は、敵である鬼にもきちんと物語や背景が描かれている為、シンプルな勧善懲悪の物語に留まらない、というところです。
主人公の敵である「鬼」と呼ばれる存在は、元々はみな人間でした。
物語では様々な事情から彼らが鬼とならざるを得なかった背景が明らかになります。
ひたすら強さを望んだ末に、鬼となった者。
多くの人間に虐げられ、さらに大切なものを奪われたことから人々への復讐を望んだ末に、鬼となった者。
病弱に生まれ寿命が残り僅かとなり、大事な人と共にもっと生きたいと望んだ末に、鬼となった者。
彼らの姿は、ともすれば私たち自身にも重なる部分が非常に多く描かれています。
誰しも、様々な運命の歯車が少しだけ狂ってしまった結果、悪になることもあるのです。
確かに悪かもしれないけれど、彼らの気持ちもよく分かる。
一歩間違えれば、自分もそちら側の人間になっていたのかもしれない。
そういった共感を呼ぶ悪役も、この物語の魅力のひとつとも言えるでしょう。
そして、ふたつ目の魅力。
それは味方の残酷な部分も、ちゃんと正直に描き切っているという点です。
個人的にはこのふたつ目の魅力の方が、より多くの人に知って欲しいと思っています。
太陽の光に当たるか首を切られない限り死なない鬼は、たとえ足をもがれようと身体を真っ二つにされようと、夜の闇の中ではほぼ無敵の存在です。
そんな鬼たちを殲滅しようとしているのは、いくら鍛え上げられた肉体を持っていようとも、生身の人間でしかありません。
戦いで怪我をしたり身体の一部を失えば命を落としますし、鬼を倒す為に刀を振るう事も二度とできなくなります。
その戦いの苛烈さが、物語が展開するにつれどんどん浮き彫りとなっていくのです。
炭治郎たちは自らの悲願を成し遂げるべく、まさに文字通り死に物狂いで鬼の始祖に立ち向かいます。
物語では、皆さんの想像以上に、多くの味方の命が犠牲となっていきます。
先ほど鬼のキャラクターの魅力を人気の理由として説明しましたが、もちろん味方として登場する面々も魅力的な人物がたくさん。
鬼殺隊で炭治郎の同期となる4人の隊士や、炭治郎の先輩である鬼殺隊を牽引する圧倒的強さを誇る9人の柱たち。
みなそれぞれに強い信念や切実な思い、矜持や誇りを持って鬼と対峙しているキャラクターばかりです。
鬼と対峙する中で、その思い虚しく散っていくのは実は1人や2人ではありません。
中には仲間が逝ってしまったからこそ、残された人間の辛さを非常に鮮明に描いている描写も度々登場します。
とある戦いで目の前で仲間を喪った後、炭治郎は涙ながらに以下のようなセリフを口にしました。
「悔しいなあ 何かひとつできるようになっても またすぐ目の前に分厚い壁があるんだ」
想いだけではどうしようもない、相手の強さと自分の弱さに打ちのめされる気持ち。
人の生死に関わらずとも、何かに心血を注いで取り組んだ人にとっては、きっと痛いほど身に覚えのある感情なのではないでしょうか。
想いの強さだけではどうにもならない無情さや、圧倒的な力を持つ相手と敵対することの壁の高さ。
そこから感じる悲しさや辛さといった感情もまた、物語やそれぞれのキャラクターに、強い愛着を抱かせるポイントのひとつではないかと思います。
週刊誌での連載は完結しましたが、単行本の発売は残すところあと2冊。
さらに10月にはストーリーが大きく動き出すエピソード「無限列車編」が、劇場版となって公開される予定です。
物語は決着を迎えてはいますが、鬼滅の刃を楽しめる要素はまだまだ盛り沢山。
皆さんもぜひ、話題の鬼滅の刃の世界を覗いてみませんか?
鬼滅の刃
著者:吾峠 呼世晴
出版社:集英社
発行:2016年6月3日第一巻発売
※画像はAmazonより引用させていただきました