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サンボマスター「花束」結成20周年の彼らが抱えた素朴で温かな「花束」を受け取る



数年前ほどから、密かにサンボマスターのウルフルズ化が止まらない、と思うようになってきました。
どういうことかと言うと、彼らの出す曲がことごとくポップスやロックというジャンルの垣根を越えて多くの人に愛される曲になっているように感じるのです。
15年前(えっ、もうそんなに前なの?)のドラマ「電車男」の主題歌「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」から始まった彼らの人気は、嫌味のない心からの誉め言葉として「お茶の間バンド」と呼ぶに相応しいものになったのではないでしょうか。

そんな彼ら、去る2020年2月に結成20周年を迎えたそう。
そのアニバーサリー企画の一環として翌月3月にリリースされたのが、今回ご紹介する「花束」です。この曲、リリースとしてはまだ間もないにも関わらず、例に漏れずまたもや大勢の人々の印象に残る1曲となっています。
それもそのはず、実は最も多くの人が商品への関心が高まるであろう忘年会シーズンの2019年の12月頃から「ウコンの力」のCMソングとして先行で放送されていたのですから。
聞く所によると、10代20代の間で流行となっている動画アプリTikTokでも、アプリ内で使える素材として少し前から聴けるようになっていたそう。
新曲リリースの一報を見て、「もしやあの曲?」と思った方も多かったことでしょう。

サンボマスターの曲は、これまで一貫してたくさんの人を励まし勇気づける、という姿勢を取り続けています。
しかし彼らのその励ましや労りには、人間という生き物独特の隠された思惑や悪意、下心を一切感じさせません。
おかしな言い回しではあるのですが、彼らの真っすぐで素朴で、ともすれば泥臭さすら感じる人間味。
それこそが、彼らの楽曲やサンボマスターというバンドの純然たる魅力でもあるのです。

ピュアな彼らが胸元に抱える、どこか不格好でそれでいて純朴な「花束」の美しいこと。
楽曲のジャケットに描かれている花束は、これまでの彼らの作品のアートワークや彼ら自身のアーティスト写真によって形作られています。
お気づきの方もいらっしゃいますよね。

この「花束」という曲。
楽曲リリースにおける企画性やアートワークの通り、彼らの20周年を総括するに相応しい1曲となっています。
サンボマスターがこれまで歩んできた、苦悩も喜びもすべてないまぜにした20年間。
彼らの軌跡は、一概に見栄えが良いと言えるものではないのかもしれません。
それでも私たちにはそれが美しく見えてしまう、ということに、なぜか少し鼻の奥がツンとしてしまうのです。
楽曲のリリースと同時にYouTubeにて「花束」をテーマソングとしたドキュメンタリー動画が公開されました。
こちらも併せて見て頂くと号泣必須です。
興味のある方はぜひ。

20周年という節目を迎えてなお、目に見えるものが全てではない人間の美しさを私たちに教えてくれるサンボマスター。
彼らの楽曲から溢れ出る、純朴で真っ直ぐな優しさ。
それを全て表しているのは、この「花束」の曲を歌い終えた一番最後に登場する、たった一言の歌詞以上の何物でもありません。
この歌詞にグッとくる感性が残っている自分も、もしかしたらまだまだ捨てたもんじゃないかもしれない。
彼らの歌詞に乗せられ柄にもなくそんなことを思わせてくれるような、そんな1曲となっています。

花束
アーティスト:サンボマスター
レーベル:Getting Better
発売日:2020年3月13日

※画像はAmazonから引用させていただきました

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