映画「横道世之介」彼のことを思い出すとなぜか笑顔になる

人たらしな奴め!

私が講師として勤めていた訓練校に通っていた元訓練生のY(男)。
彼は1年に1度くらい連絡をしてきます。
6年前、20代前半でしたので今はアラサーでしょうかね。
菅田将暉寄りなイケメンでした。

つい先日もLINEでメッセージを送ってきました。
「先生、ちょうしはどう?元気してますか?」(原文まま)
「お久しぶりです。元気ですよ」
と送り返すと、
「よかったです。でわまた」
と一言。

…なんか、生存確認されている感じ。
彼は美容師だったからなのか、人の扱いに長けており、その時その人がして欲しいこと、掛けて欲しい言葉を巧みに読み取ることが出来る人でした。

ただし、少しSの傾向あり。
欲しい言葉の反対の言葉(気分を悪くさせる言葉)をワザと言い、相手の反応を楽しむというよろしくないことをすることもありました。
しかし、フォローが上手いので嫌われることもなく、いつも輪の中心にいた人です。
常に頭の中で緻密に計算し振る舞う、世渡り上手な人たらし。

でも、私は知っている。彼女に振られ、缶チューハイ13本呑んでベロベロに酔っぱらって私に電話してきた君を。
(可愛いところあるじゃん)とその時は思ったよ。
それも計算なら怖いな。

さて、今回ご紹介する映画は、高良健吾主演「横道世之介」です。
世之介は純粋だと思う。

では、あらすじを簡単に

長崎の港町で生まれ育った18歳の少年、横道世之介(よこみち・よのすけ)。
彼はその春、東京の大学に進学するために上京します。
少々お人よしですが、明るく素直な世之介の周囲には、自然と多彩な顔ぶれの同世代の友人が集まります。
そんな中のひとりが裕福な家庭の世間知らずのお嬢様、祥子でした。
意気投合した世之介と祥子は互いに好意を抱き合うようになり、世之介が長崎にある実家に祥子を呼んだりしながら純愛の関係を続けるのですが……。

作品情報

監督は沖田修一さんです。
2009年『南極料理人』で商業映画デビュー。
この作品でその年に最も優れた新人映画監督に贈られる新藤兼人賞金賞を受賞しています。
代表作は「南極料理人」「キツツキと雨」「モリのいる場所」などです。
何気ない会話や、食事シーンなど、リアルな日常の一コマを描き出す人間観察力や描写力に定評があります。

主人公の“横道世之介”を演じるのは高良健吾さんです。
2005年、ドラマ『ごくせん第2シリーズ』にて俳優デビューしました。
その後は、日本アカデミー賞新人俳優賞、日本アカデミー賞優秀助演男優賞など様々な賞を受賞し、出演するたびに高い評価を受けています。
個人的には「蜜のあわれ」(2016年)で演じた“芥川龍之介の幽霊”が好きです。気怠い色気を醸し出していましたよ。

ヒロインを演じるのは吉高由里子さんです。
吉高さんは2006年、映画『紀子の食卓』でデビュー。
その後、オーディションで「蛇にピアス」(2008年)の主演の座を得、体当たりの演技で注目されます。お二方はこの作品でも共演していましたね。
観ていて痛みが伝わってくるハードな作品でした。

えっ、160分?

ストーリーは長崎から上京してきた世之介と、彼と関わった人々との日常を淡々と描いていきます。

純粋でお人好しで、人の言葉をそのまま受け取ってしまう世之介は、少々ウザく感じるところもあります。
髪もボサボサでチェックのシャツとジーンズ+リュックで野暮ったいし。

でも、どんな人にも垣根を設けず、スッと懐に入ってしまうんですよね。
そして、それを不快と感じさせない。不思議な吸引力を持つ人物です。

バブル初期の頃の時代背景も、その時代を過ごした世代としてとても懐かしい気分になりました。

そんな時代に一生懸命に生きる世之介に、いつの間にか観ているこちらもすっかり引き込まれてしまいます。
吉高由里子さん演じる、ぶっ飛んだ“THEお嬢様”もキュートでとても可愛い。
2人の初々しい関係性にほっこりとします。

クスリと笑えてちょっと切ない、心がじんわりと暖かくなる、そんな作品です。

監督:沖田修一
脚本:沖田修一・前田司郎
原作:吉田修一
出演者:高良健吾
吉高由里子
池松壮亮
伊藤歩
綾野剛

※画像はAmazonより引用させていただきました

関連記事一覧