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映画「ビッグフィッシュ」ティム・バートン監督 2004年5月日本公開 ホラ話と家族の絆と奇跡。美しい映像美でご鑑賞下さい

今回ご紹介する映画『ビッグフィッシュ』は、アメリカ版『釣りバカ日誌』であると、全米が涙した話題作です。
146分の上映時間全てを使って、大きな魚の鱗だけをスクリーンに映し続けたまさに怪作!
撮影の途中、釣竿にクジラがひっかかり、撮影用の船が転覆。
その様子をNG大賞で流したところ金賞を受賞し、そこからCMに使われたのも大きな話題となりました。

おっと、危ない。
今の話、うっかり信じそうになりました?
信じてはだめだめ。
なぜなら「ビッグフィッシュ」には、「誰も信じないホラ話」といった意味があるからです。

今回ご紹介させて頂く『ビッグフィッシュ』は、まさにそんな「誰も信じないホラ話」ばかりを話している父親と、家族の絆の物語です。
(あ、ここからは十分に信じて読み進めて頂いて大丈夫ですからね!)

そもそも何故「ビッグフィッシュ」に嘘つきなんて意味があるのか。
疑問に思われた方、あなたの周りで釣り好きの人に心当たりはありませんか?

空っぽのバケツをぶら下げた腕を、目一杯うーんと伸ばして、
「いやー、こんなに大きな魚が食らいついてさ!必死になって格闘したんだけど、逃げられちゃったんだ。後少しで釣れたのに惜しかったなぁ、本当に大きい魚だったのに!」
とか、
「こないだ釣った魚は本当に大きかったんだよ。大型犬くらいのサイズの魚でね、釣り上げたところを是非見せたかったなぁ!」
なんて。

そんな大きな大きな魚の話を、聞いた事は?
なんとなく、お気付きでしょうか。
なぜビッグフィッシュは、ホラ話の意味を持つのか。

たまに聞けば微笑ましいホラ話。
でも、それが毎日毎日続くとすればどうでしょう?

物語の語り部であるウィルの父親、エドワードはまさしく「ビッグフィッシュ」だと言っても良いでしょう。
彼は話します。
昔青年だった頃、町の人のために巨大な大男に立ち向かったことがあったのだと。
愛する人のため、サーカスで働いたこともある。
世界大戦では体が一つの双子の美しい歌を聞いたこともあった。
そして魔女の目を見たから、自分がどんな死に方をするのか知っていると……。

聞けば聞くほど、そんな冒険が現実で起こる訳がないと言いたくなります。

幼い頃からそんな物語をずっと聞かされ続けてきたウィルは、大人になった今ではすっかり父親とは疎遠の生活を送っていました。
ですがエドワードが病気で長くないことを知り、妻を連れて帰郷した時から物語は動き出します。
動けないエドワードに代わって荷物の整理をしている中で、ウィルは一枚の写真に出会い動揺します。
そこに写っていたものは、父親のホラ話に呆れていたウィルの気持ちを揺るがすものだったのです。
もう思い出を聞かせてもらうことも出来なくなる。
そんな時になって初めて、ウィルは自分が、父親の事を知ろうともしていなかったのだと気が付くのでした。

あなたは、自分の家族のことをどれだけ知っているでしょうか。
両親の若かりし頃の思い出を聞いたことは?
プロポーズの言葉や、若い時にどんな苦労や喜びがあったかを聞いたことは?
あなたが生まれた時、どんな気持ちでその時何をしていたのか聞いたことは?

『ビッグフィッシュ』は、家族の絆と愛情を、ありきたりではない方法で教えてくれます。
また、この作品が気付かせてくれるのは、家族の絆だけではありません。
人生を楽しむ工夫をすること。
その工夫が人生を彩るのだということ。
そして多くの人の個性は、愛する事で素晴らしい物語になるのだと、そう気付かせてくれるのです。

ティム・バートンらしい美しい映像美と、ファンタジーのような世界と現実の行き来。
最後まで観終わった時、あなたの胸の中にはきっと暖かい気持ちが溢れているはずです。

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