“かたつむり”がまさかの引っ越し奉行?映画「引っ越し大名」

4月、新生活が始まるこの時期、進学や就職、転勤などで引っ越しをされた方も多いと思います。
私は、これまで3回の引っ越しを経験しています。
その中でも、一番印象に残っているのは3回目の引っ越し。今、家族と住んでいる家に引っ越した時のことです。
当時、仕事の都合で引っ越す前に家を見に行くことが出来ず、部屋の割り当ては妹たちが勝手に決めました。私の部屋は家の中で一番狭い6畳間。
その時の妹の言い分が
「一人なんだからさ、狭くても良いじゃん」
そう、私は当時、彼氏もいなくて、独身。妹たちは旦那がいたので広い部屋を取ったのです。旦那がいるならよそに行けって話ですよ。
思い返しても腹が立つ。
挙句の果て、箪笥やら大きな荷物を仮に運び入れたのが、なぜか私の部屋だったので、しばらく私は両親の部屋で一緒に寝起きしていました。
長女の扱い雑ですよね…。今もそうですけど。
でも、住んでみると私の部屋は一番陽当たりが良く、快適。
妹たちの部屋は昼でも薄暗いの。ふふん。
今はとても気に入っています。

さて、今回、ご紹介する映画は「引っ越し大名」です。



では、あらすじを簡単に

姫路藩書庫番の片桐春之介は、書庫にこもりっきりで人と関わることが苦手な男。
あるとき、藩主の松平直矩は、幕府より姫路(兵庫)から日田(大分)への国替え(引っ越し)を言い渡されます。
当時の引っ越しは藩士全員とその家族も移動するという、莫大な費用と労力がかかる一大事業です。
全ては国替えの総責任者、「引っ越し奉行」の手腕にかかっています。
そして、なんとあろうことか、春之介が引っ越し奉行に指名され…。
突然の大役に怖気づく春之介。しかし、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門や前任の引っ越し奉行の娘である於蘭の助けを借りながら、前代未聞の引っ越し準備が始めるのですが、なにしろ、藩の財政は度重なる国替えで逼迫しており…。

ロケ地・作品情報

監督は犬童一心さんです。1960年生まれ、東京都出身です。
CMディレクター、脚本家としても活動しています。
高校時代から自主映画の監督、製作を始め、大学卒業後はCM演出家としてCMの企画、演出を手がけていました。1997年、長編映画デビュー作『二人が喋ってる。』が日本映画監督協会新人賞を受賞しました。
主な監督作に『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)、『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年)、『眉山-びざん-』(2007年)、『猫は抱くもの』(2018年)『最高の人生の見つけ方』(2019年)等があります。

主演を務めたのは星野源さんです。
俳優、音楽家、文筆家として活躍されていますが、『夜は短し歩けよ乙女』(2017年)、『未来のミライ』(2018年)などで声優もしています。

本作の舞台となっているのは世界遺産・姫路城。白鷺城という愛称でわかるようにとても美しいお城です。本作は、この姫路城城内で実際に撮影を行っています。

国替えって凄く大変!

本作の原作(引っ越し大名三千里)、脚本の土橋章宏さんが同じく原作、脚本を手掛けている、江戸時代の参勤交代を題材にした『超高速!参勤交代』(2014年)が大好きなのですが、本作も納得の面白さでした。
松平直矩は生涯に7回もの国替えをさせられ、“引っ越し大名”とあだ名された実在の大名です。
それにしても、国替えの規模の大きさにまず、びっくり。民族大移動と言っていいレベル。それを7回もとは…。
引っ越し奉行を命ぜられた春之介は、書庫に閉じこもり本ばかり読んでいた今でいうオタク。あだなは“かたつむり”。
やることはたくさんあり、例えば、人員削減(リストラですね)、持っていく家財を減らすように頼む、資金作り…等々。
人と接することが苦手な春之介が逃げ出したくなるのもわかります。
けれど、あたふたしながらも持ち前の知恵と誠実さで対応していきます。
仕事を通じて人として成長していく姿は自然と応援したくなります。
そして、割と繊細な役が多い印象の高橋一生さんが、豪快な剣の達人という設定も新鮮でよかったです。
笑いあり感動あり見どころ満載のコメディ時代劇です。

【引っ越し大名】
監督:犬童一心
脚本:土橋章宏
原作:土橋章宏
『引っ越し大名三千里』
ナレーター:立川志らく
出演者:星野源
高橋一生
高畑充希
小澤征悦
濱田岳
西村まさ彦
松重豊
及川光博
上映時間:120分
製作年:2019年
製作国:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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