冬のおうちごはんはフレンチで!
世界三大料理と言われるフランス料理。
フレンチと聞くと、なんとなく敷居が高かったり高級なイメージがありますが、家庭での料理はとっても素朴です。
度重なるロックダウンで自炊三昧だった私は、フランス人の義母からリモート講義を受けながら本格的にフランス家庭料理に挑戦することに。
そこで気づいたのが、「実は和食よりずっと簡単!!」という意外性でした。
今回は、ご家庭のメインディッシュになるようなお手軽フレンチを現地からお届けしたいと思います。
タルティフレット
タルティフレットを嫌いなフランス人はいない!と断言できるくらいの定番家庭料理です。
フランス東部オートサヴォワ地方からやってきたこの料理、秋冬の寒さが厳しい時期になると、どの家庭でも体を温める食事として頻繁に出てきます。
豪勢に見えますが、実はビックリするくらい簡単。
茹でたジャガイモと炒めたべーコン、オニオン、ニンニク、チーズを耐熱皿にのせてオーブンに放り込むだけなんです。
現地フランスでは専用のチーズが売っていますが、日本でしたら市販のベシャメルソース+とろけるチーズで代用できると思います。
焼けたチーズの香りがたまらない、グラタン好きには絶対喜ばれる一品。
ただカロリーは高めなので、少量をサラダと一緒に召し上がると良いかもしれません。
いろいろ試した結果、タルティフレットには甘口の白ワインがよく合うことが分かりました。
お子様にも喜ばれる大皿メニューです!
シュークルット
フランス東部アルザス地方の郷土料理、シュークルット。
白ワインの名産地、アルザス地方には美味しいものがたくさんあるのですが、このシュークルットは定番中の定番。なんと中世から続く料理だそうです。
大量のキャベツに、ポークハムやソーセージを煮込んだ料理で、冬の晩餐を盛り上げる一品。キャベツは乳酸発酵してあるので、酸味が効いています。
ポークの程よい塩気と、キャベツの酸味の相性が抜群!
日本で言うところのおでんのような、フランス人がホッとする煮込み料理のようです。
ただ、このキャベツが良い具合に発酵するには最低一か月かかるそうなので(その後一年は保存が効く)ご家庭でパッと出せる料理ではないかもしれません。
再び自由に旅することが可能になった日には、ぜひフランスを訪れてシュークルットを試してみて下さいね。
「プーレ・ロティ」(ローストチキン)とラタトゥイユ
プーレ・ロティは、どの家庭もどの年代のフランス人も大好きな定番メニュー。フランスでもっともポピュラーな家庭料理でいわゆる鶏の丸焼きです。
味付けは基本的には塩コショウだけでシンプルですが、鶏肉から出た脂をソースにして食べます。付け合わせにはジャガイモが良く合います。鶏肉は卓上で切り分けるのが一般的。
大皿で出すとなぜか豪華に見えますね。
そして、南仏発のラタトゥイユは濃厚なトマトソースのイメージがあったのですが、基本的には素材の味だけで良いそうです。3種類くらいの野菜と塩胡椒、ハーブで質素に味付けたもの。
だいたい焼き物のサイドメニューとして登場します。
材料さえ揃えば、切って焼くだけの何とも簡単なメニューです。これは嬉しい。
ムール・フリット(ムール貝とフライドポテト)
こちらは北大西洋側の名物料理、ムール・フリット。
シンプルなムール貝の白ワイン蒸しと、フライドポテトを添えた一品です。
旨味たっぷりのスープに、フライドポテトを浸して食べます。
本当に美味です!
アサリの酒蒸しと同じ要領で完成しますので、ぜひ試してみて下さいね。
スープは余すことなくフライドポテトに浸して召し上がってみて下さい。この新しい食べ方、病みつきになること間違いなしです。
トマト・ファルシ
南仏からやってきたトマト・ファルシも、かなりポピュラーな家庭料理です。
分かりやすく言うと、ピーマンの肉詰めのトマトバージョン。
フランス人義母の作り方を見ていたら、本当にピーマンの肉詰めと過程が同じでした。
逆に、ピーマンの肉詰めがトマト・ファルシ発祥なのかな?
こちらではケチャップやソースではなく、粒マスタードをちょっと添えていただきます。
ファルシはトマト以外にも使える食材がたくさんありまして、大きめのキノコ(しいたけでも代用できるかもしれません)、パプリカ、茄子バージョンもあります。
カボチャバージョン。
バターナッツ(ウリ科の野菜)バージョン。クルミやチーズを加えて味変しました。
ファルシシリーズは見た目もよく、野菜も同時にとれるのでとても重宝するレシピです!
フランス版サンドイッチ
フランス人夫がおもむろにバゲッドを取り出して「見よ、これがフランスの味だ」と言ってこしらえていたのがこちら。
少々見た目は悪いですが、フランス版のサンドイッチです。
鶏肉やポークのテリーヌはフランス人の大好物で、ビン詰めにされたものが良く売られています。
それにカーニション(小さめのピクルス)を一緒にバゲットに挟んで食べるのがお袋の味なんだとか。
日本やアメリカのサンドイッチとは違い、味にパンチが効いています!
大人向けのサンドイッチとして、ちょっとしたお酒のおつまみとしてサーブしても良さそうです。
スイーツ
フランスはスイーツの宝庫!!
パティスリーでは目移りするほど素敵なケーキが並んでいるのですが、我が家は手作り派です。
毎年1月6日には、このガレット・デ・ロワを食べる習慣があります。
アーモンドクリームの詰まったシンプルなパイで、フランスではパティシエの審査課題になるお菓子なんだそう。
中に入っている「フェーヴ」(小さい陶器の人形)が誰に当たるかという楽しみがありますが、重めの料理が続く冬のフランスで、私は毎年この日に「七草粥」を思い出してしまいます。。。(やはり魂が満たされるのは和食)
義母の力作、ブッシュ・ド・ノエル。クリスマスケーキです。
家庭やパティスリーによっていろいろな作り方がありますが、イチゴは必須!
必ず丸太の形をしているブッシュ・ド・ノエル。
もともとは「キリストの誕生を祝い、幼い救世主を暖めるため暖炉で夜通し薪を燃やした」ことに由来しているそうです。
私はまだまだ作れませんが、おばあちゃんになる頃にはマスターしていたいケーキです。
フランス家庭料理は「時短で美味しく、いかに自分が楽するか」
いかがでしたでしょうか?
思ったよりも手が込んでいなくて、オーブンばっかり使っている。。。と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際その通りです。
お母さんたちが腕を振るうのは、週末や誰かのアニバーサリー、クリスマスといった休日だけです。
毎日の料理で共通しているのは、「安くて手間がかからないこと」。
ただ大皿マジックといいますか、存在感があってインパクトはありますね。
フランス家庭料理は「時短で美味しく、いかに自分が楽するか」に重点を置いている印象でした。栄養バランスもあまり考えていません。
実は気取ったところが全くないフランス家庭料理。盛り付けにもこだわらないので豪快に出てきます。
今日は楽したい!という日には、大皿のフランス家庭料理がおすすめです。
まだまだ続く寒い冬。手間が省けて体が温まるメニューをぜひ試してみて下さいね!