画像で楽しむパリ・サンジェルマンデプレ地区編

皆さん、こんにちは!

前回は「画像で楽しむパリ・マレ地区編」としてセーヌ川右岸のマレ地区をご紹介しました。

実は古き良きパリの雰囲気が色濃く残る地域がまだまだあります。

特にセーヌ川を渡った反対側の左岸にあるサンジェルマンデプレ地区は、歴史スポットやハイブランドのブティック、パティスリーも充実していて、パリを訪れたら必ず行きたいエリアなんです。

ということで今回はセーヌ川左岸へ足を運んでみました。
著名な文豪たちがこぞって集った街、そしてパリで最も高級なサンジェルマンデプレ歴史地区の魅力をたっぷりお届けします!(2021年2月)



セーヌ川周辺で

私はセーヌ川が大好きです。

右岸にある自宅からサンジェルマンデプレ地区までメトロで直行できるのですが、わざわざセーヌ川を歩いて渡るために二駅前で降りて向かったりしています。

途中に存在するルーブル美術館。いつもは人・人・人であふれ返っているこの場所も、新型コロナウイルスの影響で閉鎖されています。

不謹慎ですが、人気のないルーブルはとっても幻想的で映画のようでした。
建物の屋根に鎮座するガーゴイルたち、夜になったら動いてパリの街をパトロールしてるのでは?!なんて、映画のシーンが目に浮かぶようなひと時です。

こちらがセーヌ川!
実は、1月の長雨と温暖化の影響でセーヌ川の水域が上がってしまっています。
本来なら川岸に遊歩道が見えるのですが、すっかり浸水していますね。

もちろん危ないので、遊覧船は現在運航停止。
およそ100年前には同じくセーヌ川の大洪水が起きたらしく、パリの大部分が水没してしまったそうです。

今回はそこまでの大雨ではないのですが、セーヌ川の浸水は2年おきの頻度で起こっているようです。環境問題が差し迫っていることを痛感してしまいました。

サンジェルマンデプレ地区・北側

川を渡りきると、すぐサンジェルマンデプレ地区に入ります。
まず一面に広がるのは、川沿いにずらっと広がるアートギャラリー!
この辺りにはフランスが誇る最高峰の国立美術学校「エコール・デ・ボザール」があるので、周辺はアートギャラリーや画材店が多く軒を連ねているのです。

「エコール・デ・ボザール」の卒業生にはルノワール、ドラクロワ、モネといった巨匠たちも。
ということでアンティークの骨董品からコンテンポラリーアート、版画、彫刻などあらゆるジャンルのアートが揃っているので、芸術の世界に瞬時にトリップできてしまう場所なんです。

実際、この辺りではほんのり絵具の匂いが漂ってくるんですよ。
最高です!!

こちらは日本でも人気のオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー本店。
1803年創業の総合美容専門店です。
ここの香水はアルコールフリーなので肌に優しくとっても良い香り。

こちらは有名パティスリーのラデュレ。この時はバレンタインデーが間近だったからか、お店もハートマークでいっぱいですね。

冒頭で「サンジェルマンデプレ地区はパリで最も高級なエリア」とご紹介しましたが、果たして分譲アパートはどれくらい高いのでしょう?
地域の不動産屋さんに寄ってみると。。。

なんと、リノベーション済1LDKのアパートで169万ユーロ!!!
日本円にして、約2億1120万円です。1LDKで2億!!

リノベ済といってもパリのアパートは築100年以上が普通なので、便利ではありません。
(ウォシュレットやお風呂の追いだき機能はフランスでは皆無)
東京と比べものにならないほど高額です。前世でどんな徳を積んだらサンジェルマンデプレに住めるのでしょうか。

さて、そうこうしているうちにサンジェルマンデプレ教会に到着しました。
サンジェルマンデプレ地区はこの教会なしには語れない!というほどのシンボル的存在。

543年に建築されたロマネスク建築のサンジェルマンデプレ教会は、多くの教会があるパリにて、なんと最古の教会なんです!

教会の中に足を踏み入れると、質素な外観からは想像できない色鮮やかで荘厳な空間が広がっています。

あのノートルダム大聖堂が12世紀の建立なので、サンジェルマンデプレ教会がいかに歴史的価値のある建造物かお分かりいただけると思います。

豆知識ですが、フランス人の祖先はフランク人と言って、北欧バイキングが祖先らしいですよ。
バイキングがフランスに来て土着したのがこのセーヌ川流域だったそうです。

そしてサンジェルマンデプレ教会の向かいには、歴史的カフェ「レ・ドゥ・マゴ」があります。
もちろん現在はフランス全土の飲食店が閉鎖になっているので立ち寄ることはできませんでしたが、以前は連日大賑わいだった人気カフェです。

今でこそ観光名所のようになっていますが、「レ・ドゥ・マゴ」は昔多くの作家が集まった有名なカフェです。

1885年創業の老舗で、アンドレ・ブルトンやルイ・アラゴンなどのシュルレアリストや、ジェイムズ・ジョイス、ヘミングウェイ、カミュなどの作家、画家のピカソが常連でした。

このカフェの顧客で有名だったのは、やはりボーヴォワールとサルトルの哲学者二人。
彼らはここを書斎として使っていたそうです。当時の若き作家たちは何者かになろうとして居場所を探し、サンジェルマンデプレのカフェにたどり着いたらしいですよ。

現在では作家たちの息吹はあまり感じられないかもしれませんが、今でも変わらずにこのカフェが同じ空間にあること。これが大事なことなのだと思います。

フランスで好きなところは、緊迫した状況下でもユーモアを忘れないところです。
テラス席にクマのぬいぐるみが座っていますね。笑
このクマさんたち、地元の有志団体が発案したらしいのですが、コロナ禍では大活躍!
神出鬼没でパリのあちこちに現れてはソーシャルディスタンスを守るように指示してきます。笑

表現の自由を体現する街

パリ右岸のマレ地区がアートの街だったのに対し、サンジェルマンデプレは文学的な雰囲気を感じ取ることができます。

フランスと言えば、良くも悪くも「表現の自由」が盛んな国。
実際、国民一人一人が評論家、と言っても過言ではないほど日常的に自分の意見を発しています。

デモなんかは毎週あちこちで起こっているんですよ。。。と考えていたら、本物のデモに出くわしました。

近くの大学に通う学生さんたちが、マクロン大統領に向けて「夜間外出禁止令」の反対デモを行っているようです。

危険物を伴わない行儀の良いデモでしたが、20歳前後の若者たちが声を上げるのが、いかにもフランスらしいところです。
(私は2年前、たまたま通りかかったシャンゼリゼ通りで「黄色いベスト運動」のデモに巻き込まれ催涙ガスを浴びたことがあります)

暴力や侮辱は反対ですが、何も言わなければ何も変わらないので、「表現の自由」は語り継がれるべきフランス文化だと思っています。

このように、レストランの主張も個性的。

公園とショコラティエと

サンジェルマンデプレ南側まで来ると、都会のオアシス・リュクサンブール公園が見えてきました。
古くは貴族が住んでいた宮殿でしたが、現在は公園内の建物の一部が上院議会として使われています。

飲食店やスポーツジムなどレクリエーションの場所が去年の秋から全て閉まっているので、公園の存在はいつにも増してオアシスです。。。

そういえば、サンジェルマンデプレはチョコレート激戦区でもあります。
私の持論ですが、治安の良い所には良いショコラティエ(チョコレートショップ)があるな、と思っています。高級品ですしね。

マカロンで有名な「ピエール・エルメ」の本店。

1761年創業、フランス最古の駄菓子屋さん「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」。
歴史を感じさせるけれど決して古くなく、とってもチャーミングです。
綺麗に磨かれたショーケースに並んでいるチョコレートやクッキーは、フランス映画のティータイムに出てきそう。

甘いものが苦手な私でも、喉から手が出るほど欲しいのがこちら「パトリック・ロジェ」のチョコレートです。
パトリック・ロジェ氏は「チョコレートの錬金術師」と呼ばれていて、MOF(フランス国家最優秀職人)を獲得した天才ショコラティエ。

日本でもじわじわと人気が出てきているそうで、日本へは公式ホームページからオーダー・配送が可能なようです。
ここのチョコレートを食べてからやっと「チョコレートは一種の芸術だ」と思うようになりました。

雰囲気が素敵なカフェ・レストランの「ダ・ローザ」。
こちらのマネージャーさん、スタッフのお兄さん、実は日本フリークなんです。
フランスで食に携わる人たちは、本当に日本通が多いですね。因みに今、パリのトレンドはラーメンです。ラーメンを食べることがカッコイイらしいです。笑

 

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ところで、木村拓哉さんもファンだという「ダ・ローザ」のレーズンチョコ。
世界最高峰の高級ワイナリー「シャトー・ディケム」の貴腐ワインを使用しているレーズンチョコだそうで、最高に美味しいです。

袋を開けた瞬間から香りがふわっと広がります。

お腹がいっぱいになるわけではないのに、たったひと粒で幸せになれるチョコレートの魅力は素晴らしいですね。

チョコレート激戦地区でウロウロしていたら、あっという間に夕方になっていました。
帰り道、右手に見えたのが「サン・シュルピス教会」。
ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台としても話題になった場所です。

周辺にはプチホテルやブティックが点在し、パリでの散策が思い切り楽しめるエリアの一つ。

この辺りでも古本市や蚤の市が開かれたりと、お買い物好きには何かと誘惑の多いエリアでもあります。

インスピレーションをもらえる街、サンジェルマンデプレ

夜間外出禁止令が出ている間は、フランスにいる限り18時までに自宅に到着しなければいけません。

マレ地区同様、いつ来ても飽きることなく何時間でも滞在できてしまうので、非常に名残惜しい気持ちになりつつ街を後にしました。にもかかわらず、不思議とその時私は創作意欲に満ちていました。

これも物書きの街、サンジェルマンデプレの影響かな?
なんてニコニコしながら帰路についたものです。

歴史的建造物から名もない路地裏まで、全てが絵になるサンジェルマンデプレはこうして多くの人にインスピレーションを与えてきたのでしょうね。

バイキングの時代より人を惹きつけてやまない街、サンジェルマンデプレ。
今回の記事がほんの少しでも皆さんの癒しになれば嬉しいです。



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