疲れた心にじんわり染み入る 映画「めがね」

最近、車を運転しているととても疲れます。
眼がつかれるとか、肩が凝るとかの肉体的な疲れではなく、
「あ、もう、ガソリンこんなに減った」
「こんな距離走った?」
と、メーター類が気になってしまうのです。
昨年、息子がアルバイトを始めてから送迎をしているので、かなりの距離を週4で運転しているからかしら?
ガソリンの減りが激しい…。
運転していても楽しくない…。息子は車に乗り込むと行きも帰りもすぐさま寝てしまうし、会話もない。
そして気付いたのです。

『私は車を運転することが好きではない』

そうだ。嫌いなんです。多分、ずっと…昔から。
楽しいとか思った事、ほとんど無いですもの。
そのことに気付いたとたん、余計にストレスを感じるようになってしまった。
ああ、ずっと気付かず鈍感なままでよかったのにな。
真剣に「どこでもドア」が欲しいと思う今日この頃です。
あ、タケコプターでもいいな。

さて、今回ご紹介する映画は「めがね」です。



では、あらすじを簡単に

南の島に小さなプロペラ機で降り立った女性、タエコ。
「携帯電話がつながらないところに行きたい」ということでこの島に来たのです。
曖昧な地図を頼りに宿泊先の「ハマダ」に辿りつきます。
久しぶりに来た客であるタエコを歓迎するためにみんなで食べようと弁当を作るハマダの主人ユージ。
しかし、タエコは断ります。
翌朝、タエコは浜辺で不思議な「メルシー体操」を踊る人々を目撃します。
「メルシー体操」の考案者は島に春になると訪れる謎の中年女性サクラです。
サクラは浜辺でかき氷もふるまっています。
暇を持て余しているような高校教師のハルナや多くを語らないハマダといったマイペースな人々に溶け込めずタエコは宿泊先を変更するのですが…。

作品情報

監督は荻上直子さんです。
以前ご紹介した映画『彼らが本気で編むときは、』も彼女の作品です。
彼女の醸し出す独特の空気感、世界観、すごく好きです。

主演は小林聡美さんです。荻上監督の2006年「かもめ食堂」でも主演を務めています。
スローでゆったりとした映画の雰囲気に自然に溶け込む感じは小林さんしか出せないと思います。
エッセイストとしても活躍されていますね。

そして、謎の女性サクラを演じたのはこれも「かもめ食堂」に出演されていたもたいまさこさんです。
優しい魔女のような不思議な感じの女優さんですね。

癒し系映画

本作は登場人物の誰一人として深く人物像が掘り下げられることが無い作品です。
主人公のタエコもどこから来たのか何をしている人物なのかわかりません。
後から島に来る若い男性に「先生」と呼ばれてはいるけれどなんの先生かは明かされてはいません。

けれど、いいのです。そんなこと気にもならないくらい、ゆったりとした時間が流れている不思議な島の風景が心地いいのです。
観ているだけで幸せな気持ちが溢れてきます。

多分、皆、様々な思いや背景を持っているのだろうけれど、明かされないことでこの世界感を十分味わえる魅力となっています。

疲れがたまってぐったりしてしまった時、ただ、ぼーっと観ているだけでもじわじわと癒されていきます。
不思議な魅力が詰まった映画です。

【めがね】
監督:荻上直子
脚本:荻上直子
出演者:小林聡美
市川実日子
加瀬亮
光石研
もたいまさこ
音楽:金子隆博
主題歌:大貫妙子「めがね」
製作年:2007年
製作国:日本

※画像はAmazonより引用させていただきました

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