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東京喰種トーキョーグール

深いテーマを内包するダークファンタジー漫画「東京喰種トーキョーグール」石田スイ著

「鬼滅の刃」すごいことになっていますね。
日本映画史上最速で興行収入100億円突破、初日から10日間までの間に798万人以上を動員したそうです。
私も公開3日目の10月18日、初めてチケットを予約購入し息子と2人で観に行きました。
「ジョーカー」以来1年ぶりの映画館は満席。
新型コロナウイルス感染拡大前でも満席に近いことはあったけど、完全に埋まっていることはなかった気がします。
人気作でも当日にチケット買えたもの。
私も未だ余韻から覚めぬまま、また漫画を全巻一気読みしてしまった。

さて、“令和の化け物コンテンツ”などと言われている「鬼滅の刃」ですが集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載されていた作品です。
「友情・努力・勝利」がテーマの小中高生男子がターゲットの少年誌ですね。
古くは「北斗の拳」「聖闘士星矢」「CITY HUNTER」「スラムダンク」「ドラゴンボール」から「ワンピース」「NARUTO」「銀魂」など大ヒットした作品は数知れず。そしてその多くがアニメ化されています。
集英社にはジャンプ読者層よりも少し上の年齢層がターゲットの「ヤングジャンプ」という漫画雑誌もあります。青年誌なのでジャンプより規制が緩く少々刺激も強めです。
「サラリーマン金太郎」や「スカイハイ」「GANTZ」「キングダム」などは実写化されているのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
さて、今回ご紹介する漫画は「東京喰種トウキョウグール」です。2011年~2014年にかけてヤングジャンプで連載されていた作品です。私の一押し青年漫画です



では、あらすじを簡単に

人を食らう正体不明の喰種が人間社会に紛れている東京23区。
金木研は上井大学に通う読書好きの平凡な大学生です。
ある日、親友の永近英良と通っている喫茶店「あんていく」で金木が好意を寄せている神代利世(リゼ)と好きな本が同じということで意気投合し、本屋でデートをすることになります。
楽しいデートの帰り道、なんと、リゼは喰種の本性を現し、金木に瀕死の重傷を負わせます。嬉々としたリゼが金木を捕食しようとしたその時、突然リゼの頭上に鉄骨が落下し、リゼは下敷きに…。
そして、重傷であったカネキは、病院に搬送されます。
しかし、その手術で嘉納という医師に喰種であるリゼの臓器が移植され金木は“半喰種”になってしまいます…。

作家情報

作者は石田スイさんです。
2010年、ヤングジャンプ月例第113回MANGAグランプリにて『東京喰種』で準優秀賞を受賞します。
そして翌年の2011年『週刊ヤングジャンプ』にて『東京喰種トーキョーグール』の連載が開始されます。本作がデビュー作ですね。
2014年にはアニメ化もされ、「鬼滅の刃」で主人公の竈門炭治郎を演じた花江夏樹さんが金木研の声優を務めています。
オープニングテーマはTK from 凛として時雨の「unravel」。
世界観にマッチしたこの曲も話題になりました。
2017年、2019年には窪田正孝さん主演で実写映画化もされています。

私の推しは月山習です。

さて、この物語に登場する“喰種”は人を食らうということでは「鬼滅の刃」の鬼と同じですが、化け物じみた容姿ではなく食料として人間を捕食するというだけで姿形、感情は人間と同じです。

そのため外見からは全く区別がつかないのですが、人間の食べ物を受け付けないということと、人間を捕食するとき、身体の一部が変化し、それで人間を殺し捕食します。
ストーリー上は喰種を取り締まる国家の組織喰種対策局CCGがあったりと喰種=悪のように感じます。

しかし、人間から半喰種になってしまった金木研が見る喰種の世界では、人肉しか食べることのできない喰種の抱える悲哀や絶望、自身の存在の意義に苦悩する姿が見られ、どちらが悪でどちらが善なのか金木研の価値観も揺らぎます。

人であり喰種である金木の葛藤は胸に迫るものがあります。
単純に正義と悪で区別のできない世界に置かれた金木。
凄惨な拷問を受け、次第に崩壊していく精神…。
感情の描写がとても細かく描かれ引き込まれます。

そして、物語が進むにつれ作者の画力も格段にレベルが上がり、カラー扉などは繊細で緻密で透明感のある水彩画のような筆致で神がかっています。

人間も喰種もキャラクターは魅力的で個性的。

自分の価値観まで揺さぶられるような深いテーマを持つ作品です。
アニメ、そして実写映画も併せてお勧めします。
この週末は時間を忘れ、物語の世界観を深く味わってみませんか?

東京喰種トーキョーグール
著者:石田スイ
出版社:集英社
発行:2012年2月17日第一巻発売

※画像はAmazonより引用させていただきました

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