頑張れるときに頑張ればいいと優しく背中を押してくれる小説「太陽のパスタ、豆のスープ」宮下奈都著
スープ
梅雨が明け一気に夏の暑さが襲ってきました。
暑さが苦手な私はもう解ける寸前です。
暑いので食欲が無くなりがちな今日この頃ですが、暑いからと言って冷たいモノばかりを食べていると今度はお腹を壊すので厄介です。
おまけに冷たい飲み物をたくさん飲むしね。
3日に1回は正露丸のお世話になっています。
上の妹もおんなじ。
そんな時、妹はスープを作ります。
キャベツ丸ごととベーコン、ソーセージをコンソメで味付けしたスープです。
シンプルなんだけど身体が芯から温まりお腹の痛みも治まります。
たまにチーズをのせたりもします。
暑い日がまだまだ続きそうですが、これがあれば何とか乗り切れるかな?
えっ?冷たいものを取りすぎるな?
はい、ごもっともです。気をつけよ。
さて、今回ご紹介する小説は「太陽のパスタ、豆のスープ」です。
豆のスープ、今度作ってみようかな?
では、あらすじを簡単に
結婚式直前に婚約者の譲さんから突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。
どうしておいしいご飯を食べている最中に言うのだろう?
嫌な話はご飯の『後』って言ったはずなのに…。
傷心の彼女に叔母の六花(ロッカ)さんは“ドリフターズ・リスト”を書きだすことを提案します。
“ドリフターズ・リスト”
「やりたいこと・楽しそうなこと・ほしいもの」
漂流者たち(ドリフターズ)の指針になるリストです。
ロッカさんに促されしぶしぶ書いたことはこちら。
1、食べたいものを好きなだけ食べる
2、髪を切る
3、ひっこし
4、おみこし
5、たまのこし
「じゃあとりあえず引っ越しね」
ロッカさんは言います。
そして翌週には本当に引っ越しをすることに…。
挫けずに立っているためには今はリストを道しるべにするしかない。
やりたいことをしよう。
一つ一つリストを消化することで自分の心と向き合い、明日羽は少しずつ成長していきます。
作家情報
作者の宮下奈都さんは2004年、「静かな雨」で第98回文學界新人賞佳作に入選し、小説家デビューしました。
2016年『羊と鋼の森』で第154回直木三十五賞候補となり、そして第13回本屋大賞を受賞しています。
『羊と鋼の森』は2018年に山﨑賢人さん主演で映画化されていますね。
繊細で丁寧な描写と読後にあたたかな余韻を与えてくれるのが特徴です。
みんな優しい
さて物語は結婚式を2か月後に控えた明日羽が婚約者から突然別れを切り出される場面から始まります。
梅雨の晴れ間の金曜の夜。
明日羽の視界からは色が失われ、色ばかりか匂いも湿度も失ってしまうほどのショックな出来事です。
しかし、ロッカさんに言われたようにリストを一つ一つ実行することでゆっくりと前に進んでいきます。
本当にゆっくりなんですよ。
一歩進んだかと思うとまた落ち込んだりと、ウダウダしているので若干イライラしてしまいました。
しかし、主人公を取り巻く叔母の六花さんを始め周囲の人々が、皆、温かくていいんですよね。
六花さんは少し不思議な空気の人ですが、こんな風に飄々としていたいなと思わせる魅力的な人です。
思ってもいなかった出来事を通じて自分を見つめなおすと同時に周囲にも目を向けることが出来る。
日々を丁寧に暮らすことって大切ですね。
そして、やっぱり落ち込んでいるときは丁寧に作った優しいお料理が回復の手助けをしてくれるんですね。
ロッカさんの作ったグダグダに伸び切ったゴムのようなパスタ(タイトルの”太陽のパスタ“です)は食べたくはないですが、じっくりと豆を煮込み料理がしたくなりました。
見方を変えることで自分を変えることが出来るかもしれないと優しく教えてくれる作品です。
太陽のパスタ、豆のスープ
著者:宮下奈都
出版社:集英社
発行:2013年1月18日
※画像はAmazonより引用させていただきました