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何かに夢中になることに年は関係ないと教えてくれる 漫画「メタモルフォーゼの縁側」鶴谷香央理著 コミックNewtype 1~5巻

「2.5次元」ってご存知ですか?
簡単に言うと
“漫画・アニメ・ゲームなどの2次元の世界を実際に存在する3次元の俳優がミュージカル・舞台で2次元の世界観を忠実に再現する”
事のようです。
職業訓練校で講師として勤めていた時、自他ともに認める「2.5次元オタ」の訓練生がいました。
彼女は専門学校卒業後、地元、長野で結構大きな企業に就職したのですが、3年目に自主退職し、訓練校に来ました。
当初は離職理由を「ビジネススキルを高め、違う職に就いて自分の世界を広げたい」と言っていたのですが、よくよく聞いてみると、
「実は、2.5次元オタクで、推しを応援するために全国行脚したいし、グッズを買いたいので給料が良くて休みを取りやすい職業に就きたい」
とのこと。
(ありゃりゃ…。そんなところがあれば私が先に面接行くわ)
心で思いつつも、キラキラした目で自分の推しがどんなに尊い存在かを熱弁する姿に少し羨ましさを感じました。
何かに夢中になるってとても素敵なこと。
その後、取り合えず、稼ぐことを目標にしたようで、2交代できついけれど給料の良い会社にあっさり就職しました。
「推しのために稼ぐ!」
彼女の晴れやかな顔は忘れられません。

さて、今回ご紹介するのは漫画「メタモルフォーゼの縁側」です。



では、あらすじを簡単に

「知らない間に時間って経っているのよね」
市野井雪、75歳。自宅で書道教室を開いています。3年前に夫を亡くして以来独り暮らしをしています。
亡き夫と通った思い出の喫茶店が閉店し、久しぶりに立ち寄った書店では料理本コーナーがいつもと違う場所に。いつの間にか 過ぎゆく時間に寂しさを覚えた時、彼女の目に止まったのはきれいな男の子たちが描かれている表紙の1冊のコミックスでした。
その時、たまたまレジを担当したのがアルバイトの佐山うらら、17歳の高校2年生です。彼女は雪が買った本を見て少々心配そうな顔をします。
そう、雪が買った本はなんと“BL”作品。男の子同士の恋愛を描いているコミックスだったのです。
実は、うららもその本の大ファンでした。それをきっかけにいつしか友情を築き始める2人の穏やかで心がさざめく日々…。

作家情報

作者は鶴谷香央理さんです。1982年うまれ、富山県高岡市出身です。
2007年に「おおきな台所」が「第52回ちばてつや賞」で準大賞に選ばれ、同作でデビューします。代表作は本作『メタモルフォーゼの縁側』です。
本作は「このマンガがすごい!2019 オンナ編」1位、「THE BEST MANGA 2019 このマンガを読め!」1位、「ブロスコミックアワード2018」大賞などを受賞しています。
漫画を描くきっかけとなったのは、くらもちふさこ先生の作品だそうです。
本作が連載されていた『コミックNewtype 』はWEBコミックです。

優しく暖かな2人の時間。

楽天的で朗らかな雪さんは年を取っていく自分をしっかりと受け止めている人で、じたばたと若さを羨んだり妬んだりしない、すごく柔軟で大きな心を持った人です。
こんな人と友人関係を築くことが出来たうららはとても幸せだと思います。
うららは変なところに遠慮がちで考えすぎなところが私と似ていて、なんだか共感してしまう部分がたくさんありました。
たとえば、雪さんが帰るまで家に上がって待っているけれど、寒いのにストーブも着けずにじっとしていたり、勇気を出してメールを送ったけれど、返事が来ないのは何か失礼なことを書いてしまったのか?もしかして迷惑なのかな?などとネガティブに考え込んでしまうところ。ほんと、自分を見ているよう。
でも、自分の好きなものを相手も好きでそれを共有するとき、自分自身も肯定されたように嬉しく感じること、幸せに思うこともすごく共感できるところです。
雪さんはそんなうららのことも理解してくれる、本当に尊敬できる人物です。
そして、いくつになっても推しを見つけて夢中になるって可愛らしくて素敵。
雪さんはうららとコミックマーケットにも行くんですよ。
好きなものに押され、行動範囲が広がる。わかる気がします。
私もなにか夢中になれること見つけよう。
優しく背中を押してくれる素敵な作品です。

メタモルフォーゼの縁側
著者:鶴谷香央理
出版社:KADOKAWA
発行:2018年05月08日第1巻発売

※画像はAmazonより引用させていただきました

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