• HOME
  • ブログ
  • 映画
  • 人種差別が色濃く残る時代に白人と黒人のオジ様2人が旅先で見つけたものは何?映画「グリーンブック」
映画グリーンブック

人種差別が色濃く残る時代に白人と黒人のオジ様2人が旅先で見つけたものは何?映画「グリーンブック」

私の住んでいる地区は電車やバスといった交通網が少なく、車がないと移動が困難です。
通勤も買い物も当然、車です。
ほぼ毎日のように車を運転するのですが、実はあまり運転は好きではありません。
特に高速道路は大嫌いです。
緊張して手に汗をかいてしまいます。
ドライブ気分なんて程遠い。
同乗者がいれば少しはましなんですけどね。

以前、1度だけ1人で高速に乗ったことがあります。
ひたすら緊張の連続でした。
道中のサービスエリアにすべて立ち寄ったほど。
とにかく怖かったです。
帰り道は時間がかかっても下道で帰ろうと思い、高速には乗りませんでした。
しかし、ひたすら続く山道は、暗くなるほどすれ違う車も少なくなります。
そのうち、次第に暗い山道を写すドライブレコーダーが気になり、今度は別の意味で恐怖を感じて緊張することに…。
「変なもの写っていたらどうしよう!!」
それ以来、1人では車で遠出しないようにしています。絶対嫌だ!

さて今回ご紹介する映画は「グリーンブック」です。
オジサン2人の車の旅はどんなことが待っているのでしょう?
では、あらすじを簡単に。

時代は1962年。ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるイタリア系白人のトニー・“リップ”・ヴァレロンガは、ガサツで無学で荒くれ者ですが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされています。ある日、ナイトクラブが改装工事のため閉鎖されてしまいます。新しい仕事を探していたトニーは、クラシックピアニストの運転手の採用面接を紹介されます。彼の名前はドクター・ドナルド・シャーリー。アフリカ系アメリカ人、黒人です。カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才です。ドクターはトニーの肉体的な強さや、物怖じしない性格を見込んで彼を雇うことにしました。なぜならば、彼は当時まだ人種差別が色濃く残る南部での演奏ツアーを目論んでいたから。そして二人は〈黒人用旅行ガイドブック=グリーンブック〉を頼りに出発するのですが─。

監督はピーター・ファレリーです。
『ジム・ キャリーはMr.ダマー』(1994年)「メリーに首ったけ」(1197年)などのコメディ作品の監督・脚本・製作を弟と共に手掛けています。
この作品は彼単体の監督作です。

主人公のトニーを演じたのは、世界的大ヒット作『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアラゴルン役で高い人気を獲得したヴィゴ・モーテンセンです。
その後も幅広い役に取り組み、他に並ぶ者のない個性派俳優の地位を確立しています。
皆さんの中にもワイルドなアラゴルンにキュンキュンした方、多いのではないでしょうか?

そしてドクターを演じたのは『ムーンライト』(2016年)の演技で絶賛されアカデミー賞助演男優賞を受賞した、マハーシャラ・アリです。
彼は今作で2度目の助演男優賞を受賞しています。

この作品は実話を元に製作されており、ジャズピアニストのドン・シャーリーとのちに俳優となったトニー・リップは生涯交流が続いたそうです。
トニーの息子であるニック・ヴァレロンガが脚本を務めたのですが、事実とは異なる部分も多くあったようで、公開時には賛否両論を巻き起こしました。

さて、この作品のタイトルにもなっているグリーンブックは1936年から1966年までヴィクター・H・グリーンにより毎年出版された、黒人が利用可能な施設を記した旅行用ガイドブックのことです。
ジム・クロウ法(主に黒人の、一般公共施設の利用を禁止制限した法律の総称)の適用が郡や州によって異なる南部で特に重宝されていたようです。
こんな本が出版されていたなんてこの作品で初めて知りました。
差別の残酷さに胸が詰まりました。

しかし、コメディを得意とする監督だけあってか、深いメッセージを内包しつつもわかりやすく面白いストーリーになっています。
黒人で差別の対象ではあるのですが、裕福で品のあるドクターと、どちらかというと貧しく、がさつな白人のトニー。
正反対の2人がぶつかり合い、トラブルを起こしながらも旅を通じ徐々に、分かり合えるようになる過程は「相手の立場に立って考える」ことの重要さを教えてくれます。

鑑賞後はじんわりと暖かな余韻が残る、何度でも見たくなる作品です。

※画像はAmazonより引用させていただきました。

関連記事一覧