変化し続けるアーティスト星野源 初期の心に沁みわたる曲5選

星野源さんの、初期の曲を知っていますか?

星野源さんのヒット曲といえば「恋」ですよね。2016年のTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌で、恋ダンスも大ブレイクしました。
(そして先日、ドラマで共演された新垣結衣さんとご結婚されましたね…!おめでとうございます!)

また、最近の曲「創造」などからも、星野さんといえば明るくてポップな曲というイメージがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、実は初期の曲は、雰囲気が全然違って、もっと内省的でアコースティックな楽曲が多いんです。

星野さんは、現在5枚のアルバムをリリースされています。
最新アルバム「POP VIRUS」と1stアルバムの「ばかのうた」を聴き比べると、これは同じ人なのか?というくらい違うんです。そして、それぞれとても魅力的なんですよね。

今回は、1st~3rdアルバムから、心に沁みる曲をいくつかご紹介してみようと思います。星野さんを最近聴き始めた人にぜひ聴いてほしい、また違った一面を味わえる曲たちです♪

「くせのうた」

1stアルバム「ばかのうた」の8曲目。
アコースティックサウンドで、しっとりと聴ける1曲。決して派手じゃないし、明るくもないけれどそれが良い。歌詞をじっくり味わいながら聴くと、大きな愛情がじんわり伝わってきます。

同じような 顔をしてる
同じような 背や声がある
知りたいと思うには
全部違うと知ることだ”
引用元【くせのうた】作詞:星野源

こちらは1番の歌詞の一部。決して難しい言葉ではないけれど、すごく考えさせられるような。とても深みのある歌詞ですよね。
この曲を聴いていると忙しい心がすーっと落ち着いてきます。夜に聴くとゆっくり眠れそうな曲です。

「老夫婦」

1stアルバム「ばかのうた」の7曲目。老夫婦のストーリーが描かれています。

おじいさんは ひとり暮らし
おばあさんは 雲の上
楽しかった
悲しかった
日々よ
引用元【老夫婦】作詞:星野源

2分程のとっても短い曲で、メロディーも歌詞もとてもシンプル。でも、なんだかとても心に迫るものがあります。
歌詞には描かれていないおじいさんとおばあさんのこれまでの日々が、不思議なくらい自然と想像できるんですよね。何度聴いても、目頭がじんわり熱くなるような素敵な曲です。

「日常」

2ndアルバム「エピソード」の12曲目。

「日常」を少し前向きにしてくれる、エールソングです。ゆるいテンポで優しく背中を押してくれるのが、星野源さんらしくて本当に素敵。

また、この曲に私の大好きなフレーズがあるんです。

みんなが嫌うものが好きでも それでもいいのよ
みんなが好きなものが好きでも それでもいいのよ
引用元【日常】作詞:星野源

この歌詞を初めて聴いた時、はっとしました。
みんなと違ってもいいし、同じでもいい。そのままでいいんだよ、と言われているようでとても勇気をもらえたんですよね。

それ以来、落ち込んだ時に思い出しては繰り返し聴いています。
今日からまたがんばろうと、じんわりと元気をもらえる曲です。

「知らない」

3rdアルバム「Stranger」の11曲目。
この曲は、大切な人の死をテーマにしている、と言われています。

終わり その先に
長く長くつづく 知らない景色
さよならはまだ言わないで
物語つづく 絶望をつれて
引用元【知らない】作詞:星野源

星野さんは、この曲の歌詞を2か月以上も悩んで書きあげたんだそう。そうやって完成した歌詞は、ひとつひとつの言葉が重みを持っていて、とても心に刺さります。

大切な人が亡くなって絶望している中で、もがきながら生きる。そして、その先に少しだけ、でも確かに希望がみえる。

大切な人の死って、誰もがいつか経験することなんですよね。そんなときに、お守りのように寄り添ってくれる曲ではないかなと思います。実際、私もこの曲にとても救われたことがあります。
どんな絶望の中にも希望がある。人間の生きる力を感じさせてくれるような、素晴らしい曲です。

ステップ

2ndアルバム「エピソード」の8曲目。
先ほど紹介した「知らない」もそうですが、星野さんの初期の楽曲には死をテーマにしたものが多いんですよね。この曲もそのひとつで、お墓参りの曲です。

両手に並ぶ 眠る石の間を
砂利のステップ 君の待つ場所まで
そっと目尻なぞる
引用元【ステップ】作詞:星野源

『お墓参り』と聞いてイメージする雰囲気とは全く違っていて、ウキウキ散歩に行くような明るく楽しい曲調。
この曲について星野さんは、「お墓参りまでの道のりが、すごく楽しかったんです」と語っています。

ひさびさ 元気か 襟元 土がつく
落ち着く モクモク 君の体 洗おう
引用元【ステップ】作詞:星野源

お墓に眠る人との近しさがあって、自分にもいずれ訪れる「死」というものを、とても温かく捉えているのが新鮮なんですよね。
こういう気持ちでお墓参りに行くのって、個人的にはとても素敵だと思います。
固定概念を取っ払ってくれて、色んな新しい気づきをくれる曲です。

この変化が星野源の醍醐味

星野さんの初期の曲、いかがでしたか?
現在のポップな曲とはまた違った、内省的な、誰にも見せない心の奥底を覗き見るような感じが、なんだかクセになるんですよね。

このように、星野さんは初期から現在まで、曲調をかなり変化させてきました。
星野さんのエッセイを読んでいると、常にストイックに音楽と向き合って、その結果、この変化が生まれたのだということがわかります。この変化こそ、星野さんの魅力なんですよね。

今日ご紹介したような初期の曲を知ってから、また最近の曲を聴くと、さらに奥深く味わえるのではないかなと思います。
そしてこれからもどんな変化をしてくれるのか、それもとても楽しみなアーティストさんです。

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