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食前酒と食後酒、苦みのあるお酒を飲む不思議!胃袋を開ける&消化を促す効果とは

お酒の文化も華やかなヨーロッパ。
イタリアもその例にもれず、ワイン以外にもさまざまなお酒を楽しむ風習があります。各地の修道院ではビールやリキュールが生産されていますし、高名なカクテルも多々存在します。
食事中はワインをたしなむイタリア人、食前と食後には苦みのあるお酒を飲むことが多いようです。
今日は食前酒と食後酒、その習慣にまつわるお話を紹介したいと思います。

食後に楽しむグラッパ

食前酒は胃を開ける働きあり?

イタリアにはアペリティーボ(フランス語のアペルティフ)という風習があり、夕食前や週末のお昼の前に、お酒とおつまみを楽しみます。
日本人からすると、今から大々的な食事をするのになぜこのタイミングでお酒とおつまみを口にするのかと思うのですが、実はこの慣習は古代ギリシアに起源があるとさえいわれています。
西洋医学の父ヒポクラテスは、食欲がない患者に白ワインと苦みのあるハーブを混ぜたドリンクを処方していたそうで、これが現在の食前酒のハシリといわれているのです。
医学的に見てその説に信頼がおけるのかはともかく、今でも食前酒というと多少苦味があるカクテルをたしなむ人が多いようです。
お酒の苦みが、胃袋を開いてくれると信じられているからなんですね。

食前に楽しむカクテルの数々

食後酒は消化を助ける!

これと同様に、食後も苦味があるアルコール度の高いお酒を愛飲する人が非常に多いイタリア。
とくに週末の昼食を、友人や親せきと郊外のレストランでわいわいと楽しむ場合、その食事は前菜から始まりパスタ類、お肉や魚類、付け合わせの野菜、デザートと続き、胃袋ははちきれそうになります。
もちろん、デザートの後にエスプレッソのコーヒーを飲むのですが、さらに食後酒を飲む姿をごく普通に見ることができます。
その理由は、食後酒が消化を助けるとされているためです。これまた医学的に根拠があるのかどうかはともかく、それを口にすることで「大食もこれにて一件落着」といった意味があるのは間違いありません。

食後酒の双璧アマーロとグラッパ

食後酒としてイタリア人が最も愛しているのが、アマーロとグラッパというお酒です。
アマーロはかつては薬局で販売されていたほどで、多種の薬草類が盛り込まれているのが特徴。ヤグルマソウ、キナノキ、ダイオウなどの苦みのある薬草に加え、タイムやローズマリー、丁子、カルダモン、ナツメグ、サフランなどのスパイスも配合されていて、いかにも効能がありそうなお酒です。アルコール度数は16~30℃。濃厚な茶色、独特の香りは、慣れない人は少しびっくりするかもしれません。

かつては薬品だったアマーロ


もうひとつのグラッパは、対照的に透明感を持ったお酒です。熟成年数によっては、多少茶色がかっているものもあります。
ぶどうの搾りかすを発酵させて作るグラッパは、特に男性陣に熱烈に支持されている蒸留酒。その度数、なんと50℃前後もあります。まさに胃袋内にある食物を焼けつくすかのような度数で、香りも濃厚。
満腹になった後、小さなグラス一杯のこれらのお酒をちびりちびりと飲みながら、会食者と最後のおしゃべりを楽しむのがイタリア流なのです。

そのほか、南イタリアのリモンチェッロ、青い未熟なクルミから作るノチーノなど、アルコール度数が高いお酒が、食後酒として人気があります。

飲んでも酔っぱらわないオトナのお酒

イタリアでは自家製のリキュールを作る人も少なくなく、自宅にあるハーブや果物を使って食後酒を楽しむ人も多いようです。
またこうしたお酒の醸造技術では中世から修道院に伝わったレシピも多く、修道院ではこれらを販売して収入を得ていたという歴史もあります。アマーロのように、薬として用いていたものも少なくありません。
イタリア人はこれらを痛飲してもだらしなく酔っぱらうことがほとんどなく、お酒を飲んで正体をなくす人はほぼ皆無。
日本人の私からすると、このアルコールに対する耐久性は遺伝子に組み込まれたものではないかと思うほどです。
節度を持って楽しむお酒、大人の分別を感じさせてくれるところが好ましいです。

カクテルにも使用されるアルコール度の高いアルコール

日本人の私たちは、こうしたアルコール度が高い強烈なお酒をなかなか味わって飲むことが難しいのが難点。
でもご心配は無用。
こうしたお酒と炭酸水、ワイン、果物などを合わせた美味しいカクテルも、イタリアには多いのです。
見た目も美しいこうしたカクテルの数々、イタリアでぜひ楽しんでみてください。

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