シャネル5番ほどドラマのある香水はない

皆さん、こんにちは。
皆さんは香水というとどんな香りを思い浮かべますか?

誰もが一度は聞いたことのある香水に、シャネル5番が上げられると思います。

歴史に残る世界一の香水と名高い「シャネル5番(CHANEL N°5)」。
トップメゾン、シャネルの創業者でありデザイナー、ココ・シャネルが初めて手掛けた香水です。

「香水をつけない女性に未来はない」

と、彼女の残した名言はあまりにも有名ですよね。
ですが、シャネル5番は「伝説の香り」と賛辞されるのと同時に、「世紀の悪臭」と囁かれているのも事実。現在では「過ぎ去った香り」として語られることが多いんです。

裏を返せば、1921年の発表から100年もの時を経て、ここまで話題に上った香りも他にないのでは?と思います。

実はシャネル5番のサクセスストーリーは、どの香水よりも興味深いんです!
今回はココ・シャネルと、その「成るべくして成った」名香の誕生秘話をご紹介しますね。
シャネル5番ほどドラマのある香水はない



天涯孤独の天才デザイナー

ココ・シャネルというデザイナーは、天才・努力の人・強運の持ち主などと形容されますが、誰よりも孤独と戦っていた女性だと思います。

幼少の頃に一家離散し、孤児として修道院で暮らした過去。
シャンソンや縫製の才能に加えて、美貌も兼ね備えていたココ・シャネルは、パリの社交界でたくさんの男性と交流を持ちますが、時代は階級制度が色濃く残っていた時代。

身分の高い男性と恋に落ちても、愛人としてしか扱われませんでした。

この口惜しさを原動力としたところがココ・シャネルのあっぱれなところなのです。
もし、彼女が貴族の出だったら、幸せな結婚生活を送っていたなら、シャネルブランドは今存在していなかったかもしれませんね。
シャネル5番ほどドラマのある香水はない
ココ・シャネルは最愛の人でありパトロンでもあったボーイ・カペルを1919年に交通事故で亡くしています。
実は、最初に作ろうとしていたフレグランスの名は「オー・シャネル」。同年の発表に向けて調香が進んでいた矢先の出来事でした。

絶望を味わったココ・シャネルは、一度香水事業を放棄します。
そして、現在のシャネル本店からほど近い、パリ一区のホテル・リッツにて隠遁生活をするように。

ところが、才能あふれるココ・シャネルを周囲は放っておかなかったのでしょうね。
それから数か月後、親友らの励ましと新しい恋人の出現により(切り替えの早さもスゴイ!)、再び香水の創作意欲に駆られるのです。

その新恋人の名は、ロシアから亡命してきたディミトリ・パブロヴィッチ大公。
彼の知り合いであるロシア人調香師、エルネスト・ボーこそが、シャネル5番を創り上げた男です。

フランスではなくアメリカで伝説が生まれる

そして1950年代、シャネル5番にまつわる新たな伝説が生まれます。
当時、世界で最も有名な女優であり、セックスシンボルのひとりであったマリリン・モンロー。

とある記者がマリリン・モンローに「What do you wear to bed?」(寝る時は何を着て寝るのですか?)と聞きます。

そしてマリリン・モンローはこう答えます。
「Just a few drops of N°5.」(「シャネルの」5番を数滴だけ。)

最高のキャッチコピーが生まれた瞬間です。
マリリン・モンローとシャネルは特に契約を結んでいたわけでもないのに、天才的とも言える文言を後世に残しました。
シャネル5番ほどドラマのある香水はない
もはや偶然とは呼べないシャネル5番のサクセスストーリー。
ココ・シャネルの才能は誰もが認めるところですが、最愛の人の死、世界大戦前後の時代背景、卓越したマーケティング能力・・・
どれか一つでも欠けていたならば、シャネル5番は名香と呼ばれていなかったかもしれません。

何事に関してもそうですが、傑物というのは、その並外れた実力だけでなく、バッググラウンド全てを味方につけるかのような引力をも持ち合わせていると思うのです。

華やかさと影が混在する香り

どの年代でも幅広く受け入れられる香りや、ユニセックス・フレグランスが昨今の香水市場のトレンドとなっているのに対し、シャネル5番だけはまるで“世界遺産”のように時代の変化をものともしません。
シャネル5番ほどドラマのある香水はない
シャネル5番は、普段使いするのなら、60代以降の女性に良く似合います。人生で起こった数々のドラマを経て、「全てを超えし者」のようなオーラを身に付けた女性。

この香りには赤ワインや、落ちかけの赤い口紅も良く似合います。
クラシカルな表現ばかりが先行してしまうシャネル5番ですが、この香水の隠れた魅力に「ミステリアス」さがあると思います。

これまでたくさんの著名人がシャネル5番のミューズに選ばれてきましたが、一番しっくりくるのが二人。
ココ・シャネル本人とマリリン・モンローです。

この二人に共通しているのは、華やかな舞台で活躍したことと、生い立ちが不幸であったこと。少し影のある女性たちが惹かれた香りには、孤独というスパイスが効いているのです。

シャネル5番に、100%「陽」の雰囲気はありません。
しかしそれがよりミステリアスさを醸し出し、芸術性を高めていると言えます。

「人生が分かるのは、逆境の時よ」

とココ・シャネルが言ったように、逆境を味方につけた女性の強さと言ったら鬼に金棒なのではないでしょうか。

大人の女性は美しい香りを与える

シャネル5番は、シャネルのファースト・フレグランスながら、今なお人気の衰えない至極の逸品です。

永遠の香りと呼ばれるに相応しく、成るべくして成っている最高のストーリー。
シャネル5番の誕生秘話で一本の映画ができてしまうくらい、ドラマ性を含んだ香水ですが、一人の女性の人生にもそれぞれのドラマがありますよね。

自分の人生に一本の香水を添えることができるのなら、本当に素敵なことだと思います。
かつて大人の女性から感じた美しい香りを、与える側へ。香りとともに語り継がれる存在でありたいものです。

時代や流行に左右されない確かな実力を持つシャネル5番、その奥深さをぜひ一度試香してみて下さいね。

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